公明党の山口那津男代表(時事通信フォト)

「公明党の山口那津男代表が次の総理という流れが生まれている」。そう指摘するのは政治ジャーナリスト・藤本順一氏だ。

「来年10月には衆院の任期満了を迎える。安倍首相の高い支持率という追い風がなくなって、自民党議員は次の選挙では公明党の票に頼らなければならない。その公明党は安倍政権を見限っており、ポスト安倍の与党体制は非安倍政権の枠組みに向かう可能性が高まっている。

 そこで浮上するのが山口総理です。かつて自民党は社会党の村山富市氏を総理に担ぐことで政権復帰した。公明党を連立につなぎ止めるためにも、山口氏を首相に担ぐ構想です」

 コロナの経済対策では公明党の山口代表と二階俊博・自民党幹事長が政府の方針をひっくり返して10万円支給を決め、主導権を握った。あれが“非安倍”自公政権への布石だったと見られている。

 安倍首相がコロナとの戦いに“戦意喪失”したきっかけも、その時の山口代表の言葉とされる。

「国民を取るか、政権を取るかと聞かれたら、わが党は国民を取る」。山口氏はそんな言葉で公明党の連立離脱を示唆し、首相に10万円支給を迫ったと与党内に伝わっている。

 しかも、連立離脱は口だけではなかった。公明党は緊急経済対策(補正予算)を審議する予算委員会の日程を決める理事懇談会への出席を拒否し、安倍政権は公明党の造反でコロナ対策の補正予算を国会で成立させることができないという状況に追い込まれ、要求を飲むしかなかったからだ。4月16日のことである。

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