2020年に発生した主な地震
「新型コロナの場合、無症状の陽性者が現在公表されている感染者数の数十倍は存在すると考えられている。新型コロナの感染力が年間推計感染者数1400万人(2017~2018年)の季節性インフルエンザを上回るとすれば、避難所で抗体を持たない避難者のほとんどが感染して、50万人、60万人と感染者が出てもおかしくはない」(和田氏)
国や自治体は、この危機に、どう対処しようとしているのか。
「政府は4月の時点で各自治体に対して、避難所に広いスペースを確保するため、新規避難所の指定、開設を求めています。しかし、避難所運営の現場からは『拡張する余裕はない』という声が出ています。災害時の保健衛生管理は地域の保健所が担いますが、現状のコロナ対応で手一杯で、広域地震ともなると応援も期待できません」(和田氏)
これまで被災した場合は、避難所に行くのが常識だった。だが、いまや安易に避難所を訪れるとリスクに晒されることになる。
「今後は、自宅での避難が基本になります。ただし、火災や倒壊、津波や土砂崩れなど二次災害が懸念される場合は、車中避難や野外でのテント生活、あるいは、親戚や知人宅に世話になることも考える。避難所に身を寄せなければならない場合は、マスク、手洗いはもちろん、第三者と距離を置き、常にウイルスを意識した行動をとらなくてはなりません」(和田氏)
未知のウイルスとの戦いが続くなか、容赦なく襲ってくる地震のリスクとも正面から向き合わなくてはならない。
※週刊ポスト2020年6月5日号