国内

ルポ山口組抗争 岡山でも大幹部がヒットマンとなった背景

物々しい空気がただよう銃撃事件現場

 コロナ禍で自粛を余儀なくされていたのは、一般市民のみならず暴力団も同じだった。そして自粛明けすぐ、山口組の分裂抗争が再び着火した。5月末に起きた銃撃事件──フリーライターの鈴木智彦氏が現場レポートする。

* * *
 5月30日、岡山市の歓楽街である北区田町で銃声が響いた。午後2時37分頃、神戸山口組池田組事務所の真横にある駐車場で、ナンバー2である前谷祐一郎若頭が銃撃されたのだ。ヒットマンは対立する六代目山口組側の二次団体幹部だった。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が全面解除となってからわずか5日で、山口組の分裂抗争は再開された。

 六代目山口組は自粛要請の解除を待ち、ただちに襲撃計画をスタートさせた可能性が高い。それも相手が最もダメージを負う「メモリアルデー」を狙ったのだ。

 事件当日は、池田組にとって特別な日だった。4年前の2016年5月31日、池田組の高木昇若頭が、六代目山口組弘道会傘下の組員によって殺害された。事件当日、岡山の墓所では、その高木若頭の法要が営まれていた。池田孝志組長をはじめ参列者が帰宅した後、前谷若頭が池田組事務所に立ち寄ったという。駐車場に車を停め、組員と立ち話しているその瞬間を見逃さず、懐に拳銃を呑んだヒットマンが襲来した。
 
 池田組事務所のある田町は夜の街だ。周囲には飲食店をはじめ、クラブや性風俗店、紹介所などが密集しているが、土曜昼間の犯行だったため、周囲にはまだ人通りが少なかった。また池田組事務所は周囲を駐車場が囲んでいるため、飲食店まで距離があって目撃者がほとんどいない。実際、片っ端から店に飛び込み、念入りに聞き込みをしても、銃声を耳にした住民さえ見つからなかった。

「もちろん(事件があったのは)知ってます。でも厨房には換気扇があり、その下で調理をしていたので何も聞こえなかった」(近くの飲食店で働く30代女性)

 警察は4年前の殺害事件から行なっていた池田組事務所前の貼り付け警戒を解除していた。

「最近は(抗争を)忘れていました。警察もいなくなったし、まさかこんな事件がまた起きるとは思っていなかった」(近隣の店に勤務する20代女性)

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン