新型コロナウイルスの感染拡大によって、春ドラマの撮影スケジュールが大幅に変更。撮影ができなくなくなった結果、人気ドラマの再放送が相次ぐこととなった。当然、過去の人気作なのだから、再放送でも高視聴率を叩き出すものが多かったが、一方であまり振るわなかったドラマもある。
リアルタイム放送時に大ヒットした篠原涼子(46才)主演の『ハケンの品格』(日本テレビ系、2007年、再放送は水曜22時)は、視聴率が2桁を記録することもあったが、まさかの1桁に落ち込むことも。同作は、本来ならばこのタイミングで続編が放送されるはずだったが、コロナ禍を受けての予定変更で、思わぬつまずきになってしまった。
「この13年で働き方は大きく変わりました。描かれている派遣社員に対するいびりやいじめも、いまの世の中では絶対に許されません。時代にそぐわない描写が違和感を生んでしまい、視聴者離れにつながってしまったのだと思います」(ドラマ評論家の田幸和歌子さん)
今後放送される続編では、そうした違和感を払拭できるかどうかがカギになりそうだ。
竹内涼真(27才)が主演したミステリー『テセウスの船』(TBS系、2020年、再放送は毎日23時56分・24時20分)は、二転三転して犯人の予想がつかない展開が好評で、リアルタイム放送時には最終回で19.6%を記録。だが再放送は話題性を欠いている。ドラマ評論家の成馬零一さんはこう話す。
「3月に最終回を放送した直後の5月に再放送。いくら好評だったドラマとはいえ、あまりにも近すぎたのでしょう」
山崎賢人(25才)や藤木直人(47才)が出演し、医療現場をきめ細かく描いた『グッド・ドクター』(フジテレビ系、2018年、再放送は木曜22時)も苦戦する。
「当時の評判はよかったのですが、新型コロナによって医療現場が大きく変わってしまったことで、ドラマの内容に“現実はそれどころじゃない!”と、感情移入しにくくなったのが原因ではないでしょうか」(テレビ解説者の木村隆志さん)
再放送は新作を撮影できない中での苦肉の策だった。しかし、想定外の動きも出始めた。「あのドラマも、もう一度見たい」というリクエストが増えている。
熱望する声が多いのは、木村拓哉(47才)と山口智子(55才)が出演し、最終回で36.7%を記録した『ロングバケーション』(フジテレビ系、1996年)、トレンディードラマの元祖ともいわれ、その後、明石家さんま(64才)と大竹しのぶ(62才)が結婚するきっかけとなった『男女7人夏物語』(TBS系、1986年)、織田裕二(52才)と石黒賢(54才)がライバル外科医を演じた『振り返れば奴がいる』(フジテレビ系、1993年)、松嶋菜々子(46才)の代表作『やまとなでしこ』(フジテレビ系、2000年)など、名作と呼ばれる作品だ。
これらが再放送されるなら、新作の撮影が遅れるのもそう悪くないかも。
※女性セブン2020年6月25日号