第一次安倍政権時代に初めて置かれた拉致担当大臣はこれまで18人、第二次安倍政権になってからも現在の菅官房長官(兼務)で4人目だ。
「官房長官としてあれだけ忙しい菅さんに担当させるなんて、拉致問題だけに取り組む余裕はないですよね。この人事を見ても総理が本気でないことがうかがえる」(蓮池氏)
コロナ感染さなかの今年3月16日、安倍首相は国会で拉致問題の解決について弱音をのぞかせた。
「帰国を果たした被害者以外の方々は死亡していると、北朝鮮は金正日総書記のときに述べている。この判断は違うと北朝鮮側が認めなければならない。そういう意味ではなかなか難しいハードルではある」
拉致交渉再開の前提となる18年前の「他の被害者は死亡」説を変えることもまだできていない。
「安倍さんは総理に返り咲いてから、われわれ拉致議連の会合に一度も出てくれたことがない」
拉致議連幹部の嘆きが、「拉致の安倍」の行き詰まりを物語っている。
※週刊ポスト2020年6月26日号