肺炎はいきなり症状が表れ、あっという間に重症化することも多い。神奈川県に住む清水昌代さん(81才・仮名)が言う。

「数日前まで元気に日課の散歩をしていた夫が、ある日から微熱が続くようになり、たんがからんだ咳をするようになりました。風邪だと思い市販薬をのんでいたのですが、2週間たってもよくならず、病院へ行ったら重度の肺炎と診断されました。入院後みるみるうちに悪化し、そのまま亡くなりました」

 高齢になると、若い世代と比べて、発熱や咳などの症状があまり出ず、重症化するまで気づかないことも珍しくない。なんの自覚症状もない人が健康診断で肺のCTを撮って「肺炎です」と診断されることもあるのだ。

 このように、自覚症状が出ずに急速に肺炎が進むことを、最近では「サイレント肺炎」と表現することもある。医学用語ではないが、新型コロナの流行とともにメディアを中心に広まった。

「通常、肺に関する病気は自覚症状がすぐに出ます。ところが、新型コロナ感染による肺炎は、自覚症状がないままどんどん悪化するケースも多いことがわかってきています」(上さん)

 とはいえ、ほとんどの場合、肺炎になれば想像を絶する苦痛が押し寄せる。冒頭の経験者の「苦しくてたまらない」という言葉は、多くの肺炎患者に共通する感想だ。

※女性セブン2020年6月25日号

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