国内

苦しくてたまらない…ほとんどの病気が「最後は肺炎で死ぬ」

コロナによる間質性肺炎(下)では両方の肺全体に白い影が広がる(写真/GettyImages、時事通信フォト)

「まさに“陸で溺れる”という感じで、いくら息を吸っても肺に空気が入ってきた感じがせず、苦しくてたまらない状態がずっと続くんです」(50代・女性)

「深呼吸しても酸素が体内に入ってこない。まるで首を絞められているようでした。胸が痛くて、這わないと動けず、このまま気を失って死んでしまうのではと強い恐怖に襲われました」(30代・女性)

 これらは、肺炎を経験した人たちの体験談だ。異口同音にそのつらさを訴えることから、いかに“しんどい”病気であるかがわかる。

 日本語には「息を引き取る」「息がない」といった表現があるように、呼吸はまさに生命活動の象徴。外部から新鮮な空気を取り込み、古くなったものを吐き出す。私たちはこの呼吸を1日に3万回ほど行っている。

 無意識に行われている呼吸。いま、それを司る臓器である「肺」の重要性が見直されている。重篤な肺炎を引き起こし、これまで全世界で40万人もの命を奪った新型コロナウイルス感染症の拡大がその理由だ。

 国内でも、3月29日に新型コロナ肺炎で亡くなった志村けんさん(享年70)の最期の様子は、詳しく報じられた。微熱からたった3日で呼吸困難になって意識不明となり、そのままこの世を去った。重症化すると自分の力では呼吸ができなくなり、人工呼吸器や人工肺(エクモ)などの医療機器による治療が必要になるといったことが私たちの知るところとなり、「肺の強さ」が死亡率を左右すると痛感させられた。

 当然ながら、肺炎の原因は新型コロナだけではない。厚生労働省の最新データ(平成30年人口動態統計)によれば、国内の肺炎による死者数は9万4661人。がん、心疾患、老衰、脳血管疾患に続く死因の第5位。過去20年以上にわたって日本人の死因ワースト5に入り続ける“常連”でもある。

◆ほとんどの場合、最後は肺炎になって死ぬ

 そう聞くと、すぐにでも恐ろしい肺炎の予防法を知りたくなるところだが、深い理解のために、肺を中心とした呼吸器の構造を知っておきたい。

 まず肺とは、気管から気管支へとつながった末端にある臓器で、3億個ほどある風船状の「肺胞」で成り立っている。肺胞の隙間には血管やリンパ管があり、それらを支える組織を「間質」という。

 医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんが解説する。

関連記事

トピックス

財務省の「隠された不祥事リスト」を入手(時事通信フォト)
《スクープ公開》財務省「隠された不祥事リスト」入手 過去1年の間にも警察から遺失物を詐取しようとした大阪税関職員、神戸税関の職員はアワビを“密漁”、500万円貸付け受け「利益供与」で処分
週刊ポスト
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト