一方、一般に手指消毒や噴霧に使われているのは「次亜塩素酸水」の方だ。何が違うのか。
「次亜塩素酸水に含まれる次亜塩素酸のほうが、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に含まれる次亜塩素酸イオンよりも殺菌力が強い。なので、薄い濃度で使えるのがメリットと言えます。ただ、次亜塩素酸は非常に不安定な物質で、日光が当たったり、温度の高い環境で保管されたりしていると、すぐに塩酸と酸素に分解して消毒効果はなくなります。できたてを使う必要があります」(左巻氏)
これから夏に入るが、手指消毒用にスーパーや飲食店の店頭にボトルで置かれ、直射日光が当たっていたりすると、次亜塩素酸の消失はさらに早くなる。
【Q2】次亜塩素酸水を手指の消毒に使ってもいいか
【A】○(水で洗い流したほうがいいが可)
次亜塩素酸はたんぱく質を分解する性質があり、それによって菌やウイルスを死滅させるが、人間の体もたんぱく質でできている。市販されている次亜塩素酸水を手指消毒に使っても安全なのか。
「濃度によりますが、人間の皮膚は角質層という、いわば死んだ細胞で覆われているので、手指消毒に使っても通常は問題ないと考えられます。ただ、できれば、水で洗い流したほうがいいですね」(左巻氏)
しかし、水で洗い流すのであれば、最初から石鹸でしっかりと手を洗えば済むとも言える。そのほうがコストも安くつくはずだ。
【Q3】次亜塩素酸水で食材を消毒してもいいか
【A】○(完全に洗い流せばOK)
次亜塩素酸水は、スーパーなどで野菜や果物などの食材の殺菌消毒にも利用されている。この事実をもって安全性を主張する人々が多いが、使用には条件がある。
「食材の消毒にはかけ流して用いますが、厚労省の基準では、最終食品に残らないように、洗い流して除去すること、残留させないことが使用の条件になっています」(左巻氏)
手指消毒と違い、口から入る可能性があるので、しっかりと水で洗い流すこと。