【Q5】次亜塩素酸水の噴霧で“空間除菌”は可能か
【A】△
次亜塩素酸水を噴霧して“空間除菌”をすると謳う製品の販売会社のサイトには、数10分の噴霧で菌やウイルスを99%除去するなどと書かれている。実際に効果はあるのか。
「滅菌された清浄な実験室に、試験用の菌やウイルスを入れて噴霧の実験をすると、そうした効果が出るのかもしれません。
しかし、実際に使っている部屋で、人間がいる状態だと、ほとんど効果はないと考えられます。壁や床、空気中にはさまざまな菌やウイルス、カビの胞子などがいますし、人間がいて動いていれば次亜塩素酸水は皮膚につき、皮膚には常在菌やウイルスもいる。そもそも人間自体がたんぱく質の塊です。次亜塩素酸はそれらを分解するのに消費され、消失していきます」(左巻氏)
実験室での結果が、そのまま実際の部屋に適用されるとは限らないのだ。
2020年6月11日に、次亜塩素酸水の販売業者らで組織された次亜塩素酸水溶液普及促進会議が、メディア報道に対して反論する記者会見を開いたが、そこで次亜塩素酸の効果と安全性を訴えるために壇上に立った三重大学の福崎智司教授はこう課題を述べている。
「人がいる空間では、このような非常に薄い気体状次亜塩素酸では効かないということです。もう一ついえば人は汚染源ワーストワン。どんなに清浄な空間でも、そこで何人の人間が活動するかによって落下菌数は大きく変わってくるということなんです」
次亜塩素酸水をめぐっては、まだ専門家の間でも有効性や使い方などに関する議論が続いている。最新の情報をチェックして、賢く利用したい。
●取材・文/清水典之(フリーライター)