そんな麻生氏の慌てぶりを冷ややかに見ているのが、麻生氏と並ぶ実力者の2人、菅義偉・官房長官と二階俊博・自民党幹事長である。二階氏は解散を「頭の片隅にもない」、菅氏は「(解散風を)全く感じない」と言ってのけた。選挙の指揮を執るのは党では幹事長であり、官邸では官房長官。自民党の集票マシンでもある公明党・創価学会と太いパイプを持つのもこの2人だ。
だが、公明党側への「解散」の説得にパイプのない麻生氏が乗り出さなければならなかったことで、二階氏も菅氏も解散に賛同していないことが鮮明にわかる。
政権の中枢では延命解散をめぐって積極派の麻生氏と、慎重派の二階・菅氏の間に大きな亀裂が入っている。
※週刊ポスト2020年7月24日号