物議を醸した「桜を見る会」(2019年、写真/時事通信社)

◆「貴族内閣」「下心政治」

 経済ジャーナリストの荻原博子さんはそれを「貴族内閣」と呼ぶ。

「安倍さんがアップした星野源さんの曲に合わせてくつろぐ動画には、“あなたは貴族か”と驚いた。国民の自粛の中で花見や旅行を楽しむ昭恵夫人はさしずめマリー・アントワネットでしょう。安倍首相だけでなくお友達の大臣も貴族内閣なんです。庶民の生活がわからないから、対策もわからない。だから側近に『全国民に布マスクを配れば不安はパッと消えますよ』なんて言われて何百億円もかけてアベノマスクを配ってしまう。

 自粛で国民がいちばん困っているときに政府が組んだ一次補正予算には、アルバイトで学費が稼げずに困っている学生への支援はたった7億円で、さあ旅行に行こうというGo Toキャンペーンに1.7兆円ですよ。自粛で出歩くなといって、さあ旅行なんておかしいでしょう。カナダは学生支援に7000億円くらい予算を組んでいる。日本は政治家が誰が本当に困っているかわからない貴族だからこんな対策になる」

 経済評論家で同志社大学大学院教授の浜矩子さんは「下心政治」と名づけた。

「政府が傷んでいる国民の生活を支え、命を守ろうと本当に思っているのであれば、持続化給付金(自営業者に100万円、中小企業に200万円)の丸投げなどしないでしょう。しかも相手は電通。過労死問題を起こしたブラック企業じゃないですか。コロナ対策と称してそういう企業が儲かるように外注するおかしさ。私は安倍政権の本質は、不純な動機で政策にあたっている下心政治だと思います」

 危機にあたって、以前は見過ごされ、うやむやになっていたスキャンダルや不祥事がいかに異常だったかも見えるようになってきた。

「桜を見る会だって、森友も加計学園もおかしい。みんな安倍さんのお友達から始まってるじゃないですか。でも、問題が浮上したときは、まさか日本の総理が平気で嘘をつくとか、文書が改ざんされているなんて思いたくなかった人も多いと思う。だって道徳教育を学校の教科にしたのは安倍さんですよ。

 道徳の授業では“善悪の判断”とか、“正直さ”や“責任感”を培うようになっている。そういうことを学びなさいという安倍総理自身がまさか嘘をついて、責任も取らないなんて思いたくなかった。それが今回のコロナの対応で、10万円の給付金の遅れとか、持続化給付金の中抜き問題とか身近なところで安倍政権のお粗末さが露呈して、やっぱり森友も加計も桜を見る会もそうだったのかとわかって多くの人が唖然となった」(荻原さん)

 長い間政治に裏切られていたことに国民が気づいたことで、社会全体に「もう安倍さんの時代ではない」という意識の変化が生まれている。

※女性セブン2020年7月23日号

関連記事

トピックス

男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”女子ゴルフ選手を待ち受ける「罰金地獄」…「4人目」への波及も噂され周囲がハラハラ
週刊ポスト
米国ではテスラ販売店への抗議活動、テスラそのものを拒否するよう呼びかける動きが高まっている(AFP=時事)
《マスク氏への批判で不買運動拡大》テスラ車というだけで落書きや破壊の標的に 在米の日本人男性の妻は付け替え用の”ホンダのロゴ”を用意した
NEWSポストセブン
大村崑さん、桂文枝師匠
春場所の溜席に合計268歳の好角家レジェンド集結!93歳・大村崑さんは「相撲中継のカット割りはわかっているので、映るタイミングで背筋を伸ばしてカメラ目線です」と語る
NEWSポストセブン
大谷翔平の第一号に米メディアが“疑惑の目”(時事通信、右はホームランボールをゲットした少年)
「普通にホームランだと思った」大谷翔平“疑惑の第1号”で記念ボールゲットの親子が語った「ビデオ判定時のスタンドの雰囲気」
NEWSポストセブン
外国の方にも皇室や日本を知ってもらいたい思いがある雅子さま(2025年2月、東京・台東区。撮影/JMPA)
皇居東御苑の外国人入園者が急増、宮内庁は外国語が堪能なスタッフを募集 雅子さまの「外国の方にも皇室や日本を知ってもらいたい」という強い思いを叶える秘策
女性セブン
水原一平(左、Aflo)と「親友」デビッド・フレッチャー(右、時事通信)
《大谷翔平のチームメイトに誘われて…》水原一平・元通訳が“ギャンブルに堕ちた瞬間”、エンゼルス時代の親友がアップした「チャリティー・ポーカー」投稿
NEWSポストセブン
岡田准一と西畠清順さん(2025年2月)
岡田准一、大親友「プラントハンター」との決起会をキャッチ 共通点は“無茶をしてでも結果を出すべき”という価値観
女性セブン
「ナスD」として人気を博したが…
《俺って、会社でデスクワークするのが苦手なんだよね》テレビ朝日「ナスD」が懲戒処分、517万円を不正受領 パワハラも…「彼にとって若い頃に経験したごく普通のことだったのかも」
NEWSポストセブン
トレードマークの金髪は現在グレーヘアに(Facebookより)
《バラエティ出演が激減の假屋崎省吾さん“グレーヘア化”の現在》中居正広氏『金スマ』終了を惜しむカーリー「金髪ロング」からの変貌
NEWSポストセブン
姉妹のような関係だった2人
小泉今日子、中山美穂さんのお別れ会でどんな言葉を贈るのか アイドルの先輩後輩として姉妹のようだった2人、若い頃は互いの家を行き来し泥酔するまで飲み明かしたことも
女性セブン
彼の一世一代の晴れ舞台が近づいている
尾上菊之助「菊五郎」襲名披露公演配役で波紋、“盟友”尾上松緑を外して尾上松也を抜擢 背景に“菊之助と松緑の関係性”を指摘する声も「最近では口もきかない」
女性セブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロゴルフ・川崎春花、阿部未悠、小林夢果を襲う「決勝ラウンド3人同組で修羅場中継」の可能性
週刊ポスト