芸能

松嶋菜々子に再評価の波 『なでしこ』再放送から見えたもの

再放送でも数字を持っていることを証明した松嶋菜々子

 相次いだ放映延期、コロナ禍の影響はドラマファンにとっても大きかったが、悪いことばかりではなかったはず。かつての作品が新たな波を生み出すこともある。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 コロナ禍によるドラマ撮影の中断で、過去作品の再放送が続いています。当初は苦渋の選択だったはずの再放送も、今や空いた時間を埋めるコンテンツではなくもっと積極的な意味あいや成果がはっきりと見えてきました。簡単にいえば、ドラマの魅力再発見ということでしょう。

 例えば松嶋菜々子主演の『やまとなでしこ』(フジテレビ系 2000年)。20周年特別編の第一夜・第二夜合計視聴率は世帯平均視聴率10.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と上々の結果に。SNSでは「松嶋菜々子がすごくキレイ」「可愛らしい」という評価が溢れ、「神野桜子は松嶋菜々子の最高のハマり役」「華やかなファッションがいちいち決まっている」「セリフがとっても懐かしい」と反響が。

 20年前の松嶋さんの、きらめくような「美しさ」。それはまさしく視聴者の誰もが感じたこと。ただそれ以外にも再放送によって改めて発見したことがありました。一言でいえば、松嶋菜々子という役者の持っている潜在的な力──演じる人物に対する深い理解力と、鋼のように強くてしなやかな意志です。

『やまとなでしこ』の桜子は、キャラクターの輪郭が非常にはっきりとしていました。「借金まみれのハンサム男と裕福なブタ男」なら「幸せにしてくれるのは裕福なブタ男」と選択軸が明快。「心よりお金!」「女が最高値で売れるのは27」と断言し、結婚をドタキャンした際は「私は悪くな〜い!」と叫ぶ。大胆な方向転換をする時も自分の行動のリスクを引き受ける根性と覚悟がある。そんなエッジの効いた個性的な人物を実に活き活きと浮かび上がらせました。

 松嶋さんは「桜子」という役柄をしっかりとグリップ。この人物ならこうした行動をとる、こうしたしぐさをする、と一つ一つ確信を持って演じていた。だからブレがなく、シャープな演技でつい一挙手一投足に見とれてしまうのでした。

 奇しくもその11年後、松嶋さんにめぐってきた久々の単独主演作こそ、『家政婦のミタ』(日本テレビ系2011年)でした。ご存じ、このドラマの最終話視聴率は40.0%(関東地区)とお化け数字をたたき出した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン