さらに、石橋がアカウントを開設する際に名前を挙げていた、ディレクター・マッコイ斉藤氏の存在も重要だとラリー遠田氏は指摘する。他のYouTubeチャンネルとは異なり、『貴ちゃんねるず』ではまるでテレビのような高クオリティの企画を実現することができたのである。
「『とんねるずのみなさんのおかげでした』の演出を務めていたマッコイ斉藤さんが制作しているだけあって、テレビのバラエティ番組にも見劣りしないほど動画のクオリティが高いというのも強みです。石橋さんが阿佐ヶ谷姉妹の家に押しかけたり、清原和博さんと男気ジャンケンで支払いを決めたり、『おかげでした』を彷彿させる企画も行われていました」(同前)
さらに、40年の芸歴を通して培った幅広い人脈と豊富な知識を活かした企画を実施していることも、『貴ちゃんねるず』の魅力のようだ。なかでもプロ野球の解説動画は非常に優れており、「ここまで人気が出たのは当然」とラリー遠田氏は高く評価する。
「石橋さんがプロ野球について解説する企画も人気です。石橋さんはプライベートでメジャーリーグ観戦のために現地に行くほどの大の野球マニアです。野球やスポーツ全般に関して豊富な知識があり、多くのアスリートとの人脈もあり、面白く話をするトーク力もある。野球解説系YouTuberとしても別格の存在なのです。ここまで人気が出たのは当然のことですし、登録者数はこれからもっと増えると思います」
かつてインターネットの世界は“オルタナティブ・メディア”と呼ばれ、テレビをはじめとした既存のマスメディアとは異なる可能性に期待が寄せられていた。しかし現在ではむしろテレビのクオリティをいかに再現できるかが重視されているようだ。
とはいえ、テレビでは不可能な企画を楽しみに待つファンも多いことだろう。“大御所”である石橋がそうした試みに踏み出したら、インターネットの世界の流れも変わっていくのかもしれない。
●取材・文/細田成嗣(HEW)