監督の高橋源一郎が話してくれた。
「神宮大会での優勝を評価してもらって、中心選手は早い段階で進路を決められました。うちで志望届を提出するのは、中山だけです」
3番を打つ中山礼都(らいと)は、根尾昂(大阪桐蔭、現・中日)に顔も打撃フォームもよく似た大型遊撃手だ。中山は言う。
「ずっと『高卒でプロ』を曲げずにやってきた。育成での指名なら、(契約は)ないです。その後の進路の選択肢は狭まりますが、必ず指名してもらえるという強い想いもあります」
残されたアピールの場は、愛知の独自大会と交流試合、そしてNPBと日本高野連が行なう「プロ志望高校生合同練習会」。大学、社会人の関係者の来場も許された練習会は東京ドームと甲子園の2か所で行なわれる。
「もちろん、参加します。甲子園か、東京ドームか、真ん中(愛知)の僕はどちらに参加することになるんでしょうか(笑)」
140キロオーバーの投手が3学年で10人以上いる宮城・仙台育英は、選抜の優勝候補にも挙げられ、今では大阪桐蔭と並ぶ全国随一のタレント集団である。中でも注目は、昨秋の宮城大会では背番号「8」ながら、美しいフォームから制球の定まったスライダー、カーブを投げる向坂優太郎だ。