国内

記者クラブ制度の大きな弊害 大手メディアは変われるのか

台本通りの首相会見が繰り返されてきた(AFP=時事)

 リーダーの言葉が伝わってこない。新型コロナウイルスの感染再拡大が続き、国民が不安な日々を過ごす中で安倍晋三首相は沈黙を続けている。8月6日に広島市で約1か月半ぶりに開いた記者会見は16分で終わり、9日に長崎市で行った記者会見は質問2問で終了した。

 6日の会見では、終了間際に質問を続けた朝日新聞記者の右腕を官邸報道室の職員がつかんだとして、朝日新聞社が「質問機会を奪う」と報道室に抗議する一幕があった。政権側が記者の質問を物理的に阻止することはもちろん批判されるべきだが、これまでの記者会見で予定調和の質問に終始してきたメディアの側にも、権力の横暴を招いた責任の一端があるのではないだろうか。

 特にコロナ禍のような国難においては、リーダーが自らの意見を述べる記者会見が、為政者と国民をつなぐ場として重要になる。そこでメディアは国民に代わって指導者の言葉に耳を傾け、発言の内容を確かめ、チェックし、発言の意図や意味を国民に分かりやすく伝える役目を負う。そのためには、会見の場で質問を重ねて理解を深めるとともに、時には矛盾点や過去の発言との整合性などを厳しく追及して、リーダーの判断が適切かどうかを見極める必要がある。

 だが日本のメディアがその役割を果たしているとは言い難い。日本独自の制度である記者クラブが、充実した記者会見を妨げているからだ。記者クラブに詳しいフリーランス記者の畠山理仁氏は、「象徴的なのは、安倍晋三首相の記者会見です」と指摘する。

「首相会見での質問は、事前に首相官邸の記者クラブである内閣記者会を通じて官邸側に伝えられており、安倍首相の回答も事前に用意されたものがほとんどです。幹事社以外の記者からの質問にも、官邸側が情報収集して想定問答を作っています。つまり、首相会見は“出来レース”なんです」(畠山氏)

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン