しかし、もし実際に事が起こってしまったとき、社会から叩かれるのは女性だけだ。横浜国立大学教授で社会学者の江原由美子さんが言う。

「女性だというだけで、同じことをしでかしても、世間からのバッシングは男性よりも強い。(『このハゲー!』で知られる)豊田真由子元議員のパワハラの一件も、元秘書にひどいことをしたということは事実ですが、もし、これが男性議員だったら、あれほどの大ごとになったでしょうか。

 男性が男性を罵ったところで、“一時的に感情的になってしまった”などと、謝罪程度で済んだかもしれません。あそこまで人格を否定され、自民党を離党せざるを得ないところまで追い込まれたのは、女性であることがマイナスに作用した結果でしょう」

 ただ女性であるだけで、一度怒りを爆発させてしまえば、仕事も立場も一気に失いかねないのだ。

 武蔵大学教授で社会学者の千田有紀さんは、「日本では、男女の権力差、性差別があまりにもひどい」と話す。

 2018年、『M-1グランプリ』に出場した吉本興業所属の若手芸人が、インスタグラムのライブ配信で上沼恵美子(65才)を批判したことは記憶に新しい。

「酔ってるから言いますけど、(M-1の審査員を)そろそろもう辞めてください。自分目線の、自分の感情だけで審査せんといてください」「右のおばはんや、右のおばはんにみんなうんざりっすよ」「更年期障害かと思いますよね」などと、暴言を連発した。

「お酒に酔った状態で出た暴言でしたが、彼らはたとえば、同じような暴言を島田紳助さんや松本人志さんに対しても言えるでしょうか? 上沼さんが女性だからこそ、酔った勢いで口にできたのだと思います」(千田さん・以下同)

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