久しぶりに再会した場所は「夜の街」だった

久しぶりに再会した場所は「夜の街」だった

ギャラは1文字あたりいくら、です

「もう表立った声の仕事はないですね、5年くらい前はまだ知り合いのゲーム会社の社長さんからお仕事もらえたりしてたんですけど、その会社もありません」

 ゲーム会社というのは、多くの人が想像するような誰もが知る家庭用ゲームやCMをバンバン流す大規模なソーシャルゲームを手がけるような有名ゲーム会社ではない。同人ゲームと呼ばれる趣味のゲームサークルだ。

「作品がいっぱいあって、声優としてのチャンスもあった。いまは全然ですね」

 趣味のゲームサークルと書いたが、実際は立派に会社を経営しており商業ベースで作品をリリースしているところも多い。じゃあなぜ同人と呼ばれるのかの説明は端折るが、テレビアニメで知られる『月姫』も『ひぐらしのなく頃に』も元は同人ゲームであり、クールジャパンの原動力となった。もちろん彼女の言うゲーム会社の社長さんとこれらとは何の関係もない。私はその社長さんのことも知っているが、とうに行方不明だ。

「メジャーなアニメやゲームからお呼びのない声優は制作スタッフやスタジオ関係の人たちと仲良くするんです。それが営業ですね」

 当時、小さなゲームのキャスティングには公開オーディションや公募といった形態は少なく、ゲーム会社と声優事務所、制作スタジオとの閉ざされた世界、というかゲーム会社の担当者の胸先三寸で決まった。営業面はもちろん加味するものの、社長の趣味だったりスタッフやクリエイターの趣味だったりもした。会社といってもママゴト会社も多かったため、それなりのタイトルであってもユーザーには考えられないほどのカオス、趣味丸出しのキャスティングもまかり通っていた。あとは、声優事務所はもちろん音響制作スタジオ(アニメでいうところの音響監督的な立ち位置)がゲーム会社にプッシュすることもある。

「ゲームにもよりますがだいたいギャラは1文字いくらです。アニメみたいに1本出ていくら、ってわけじゃありません。だいたいヒロインは複数ですから、その中の一人になればまとまったお金になります。ランクにも影響ないですから、新人でも人気があれば1文字あたりのギャラは上がります」

 ランクとは日俳連(日本俳優連合)に決められている声優の報酬ランク制度である。声優は日俳連に所属(事務所を通してが大半)していればこのランク制度に従うことになる。3年間はどんなに人気があろうとギャラは安い。この安い3年間で、多くの現場で声を使ってもらい、引く手あまたになることがその後の生存条件の一つとなる。ゲームにはその縛りがない。人気があれば事務所もギャラ交渉は言い値で強く出られるわけで、若手にとっては貴重な収入源だ。しかしゲームは先にも書いたとおり指名が多い。交渉も人気があればこそ、ということは結局人気声優にならなければ先細りになる。

「絶対にそうなるとは限りませんけどね。続けていれば逆転できることだってあります。でもみんな続けることが難しくなるんです。モチベーションとか……」

関連記事

トピックス

「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
悠仁さまの「加冠の儀」に出席された雅子さま(時事通信フォト)
《輝きを放つシルク》雅子さま、私的な夕食会で披露した“全身ゴールド” ファッション専門家「秋を表現された素晴らしい一着」
NEWSポストセブン
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
クイズ企画が人気を集めている『新しいカギ』の特番が放送される(公式HPより)
《1コーナーから2時間特番に》『新しいカギ』「高校生クイズ何問目?」が高校生から高い支持 「純粋にクイズを楽しめる」「負けても納得感」で『高校生クイズ』との違いも 
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン