「うちの考案かは疑わしい」
近代食文化研究会の指摘は、答えそのものにとどまらない。「なんでたい焼きは鯛なの?」(2019年1月4日放送)というギモンに対し、「鯛は食べられるから」と禅問答のような答え。理由はこうだ。
たい焼きは明治42(1909)年に大学生の神戸清次郎(浪花家総本店初代)・源次郎兄弟が考案した。今川焼を改良して亀、兎、野球のボール形の和菓子を作るなかで、唯一の人気商品となったのが、たい焼きだった。兄弟は「亀、兎、野球ボールは食べられないけど、鯛は食べられるからだ」と納得したという。
しかし、近代食文化研究会はチコちゃんにこんなギモンをぶつけるのだ。
「これを発見したのは私ではないのですが、明治44(1911)年9月20日の読売新聞に、『今日まで5年間営んだたい焼き屋で食中毒騒ぎがあった』という内容の記事があります。つまり、明治39年には、たい焼きが存在していたのです」
そこで浪花家総本店・四代目で現店主の神戸将守氏に聞いてみた。
「初代が考案したと伝えられているのでそう謳っていますが、当店が発祥であることについては私自身も疑っているんです(苦笑)。当時食堂でカレーライスなどを食べた後に今川焼のようなお菓子を出していたと聞いている。鯛の形のものを焼いていてもおかしくない」
発祥が定かでないことはチコちゃんもご存じだったようで、番組中に、「たい焼きの起源に関しては諸説あります」とテロップが流れていた。