「他にも日本人いますけどリーダーのいいなりです。私たち(外国人)とは話しません」
他の日本人のアルバイトも少ないながらもいるが、短時間だったり避けられたりで話すことは少ないそうだ。それぞれ事情もあるし日本人にとってのコンビニバイトは留学生とは少し意味合いが違ってくる。必要最低限以外は話したくない人も多いだろう。その辺はお国柄か。
「社長さんほんとは日本人いるけど、私たちとります」
グエン君によれば、オーナーは日本人が欲しくて、日本人のほうが安心だと言っているそうだ。オーナーは高齢とのことで、コンビニで働いてくれる日本人の男というだけで貴重なのだろう。しかしグエン君たち外国人店員にとっては鬼軍曹、まったく理不尽な話である。どんな男なのか。ここは私も詳しく聞きたいので英語で話してもらった。
「年齢は30代くらいだと思う。これまで何をしていたかはわからないが、大きな仕事をいくつもしてきたと言っている。芸能人とも知り合いで、大手企業の社長と食事をしたこともある」
だいたいこんなことを話してくれた。やれやれ、それでもコンビニではベテランでシフトリーダーとのことなので、その武勇伝も昔の話だろう。もしかしたら日本人の彼にも夢があるのかもしれないし、求職中のつなぎバイトのつもりで入ったら次が見つからずに牢名主になってしまった口かもしれない。珍しくもないフリーターだが、グエン君からすれば日本人というよりは異星人、理解不能の存在だろう。
「日本人のフ ヌー(ベトナム語で「おばさま」か)もやめました、私たちをかばってくれたのに、やめるのかわいそう」
コンビニの日本人アルバイトおばさんはグエン君たちの味方だったのだろう。個人的にも気に入らなかったのかもしれないが、そのシフトリーダーと衝突してやめた、ということか。グエン君たちをひどい目にあわせるシフトリーダーの30代アルバイト、こんな男があちこちの外国人労働者の職場にいて、威張り散らしているのかもしれない。いや、実際コロナ以前には技能実習生含め事件化したものもある。1983年、中曽根康弘内閣の留学生10万人計画から40年近くも数ばかり追い、一方では不良外国人が横行、一方ではこうしてグエン君のような真面目な留学生や実習生がひどい目に遭っている。
「リーダー、自信ないからそういうことする」