1983年「国際救援センター」の落成・開所式典に出席、ベトナム難民の幼児を抱く中曽根康弘首相(時事通信フォト)

1983年「国際救援センター」の落成・開所式典に出席、ベトナム難民の幼児を抱く中曽根康弘首相(時事通信フォト)

「他にも日本人いますけどリーダーのいいなりです。私たち(外国人)とは話しません」

 他の日本人のアルバイトも少ないながらもいるが、短時間だったり避けられたりで話すことは少ないそうだ。それぞれ事情もあるし日本人にとってのコンビニバイトは留学生とは少し意味合いが違ってくる。必要最低限以外は話したくない人も多いだろう。その辺はお国柄か。

「社長さんほんとは日本人いるけど、私たちとります」

 グエン君によれば、オーナーは日本人が欲しくて、日本人のほうが安心だと言っているそうだ。オーナーは高齢とのことで、コンビニで働いてくれる日本人の男というだけで貴重なのだろう。しかしグエン君たち外国人店員にとっては鬼軍曹、まったく理不尽な話である。どんな男なのか。ここは私も詳しく聞きたいので英語で話してもらった。

「年齢は30代くらいだと思う。これまで何をしていたかはわからないが、大きな仕事をいくつもしてきたと言っている。芸能人とも知り合いで、大手企業の社長と食事をしたこともある」

 だいたいこんなことを話してくれた。やれやれ、それでもコンビニではベテランでシフトリーダーとのことなので、その武勇伝も昔の話だろう。もしかしたら日本人の彼にも夢があるのかもしれないし、求職中のつなぎバイトのつもりで入ったら次が見つからずに牢名主になってしまった口かもしれない。珍しくもないフリーターだが、グエン君からすれば日本人というよりは異星人、理解不能の存在だろう。

「日本人のフ ヌー(ベトナム語で「おばさま」か)もやめました、私たちをかばってくれたのに、やめるのかわいそう」

 コンビニの日本人アルバイトおばさんはグエン君たちの味方だったのだろう。個人的にも気に入らなかったのかもしれないが、そのシフトリーダーと衝突してやめた、ということか。グエン君たちをひどい目にあわせるシフトリーダーの30代アルバイト、こんな男があちこちの外国人労働者の職場にいて、威張り散らしているのかもしれない。いや、実際コロナ以前には技能実習生含め事件化したものもある。1983年、中曽根康弘内閣の留学生10万人計画から40年近くも数ばかり追い、一方では不良外国人が横行、一方ではこうしてグエン君のような真面目な留学生や実習生がひどい目に遭っている。

「リーダー、自信ないからそういうことする」

関連記事

トピックス

およそ揉め事を起こしそうにない普通の人たちがカスハラの主役になっている(写真提供/イメージマート)
《”店員なんて赤の他人”的な行為が横行》条例施行から2か月、減らないカスハラの実態 都内のコンビニ店員が告白「現役世代のサラリーマンが…」品出し中に激突、年齢確認にブチ切れ、箸に”要らねえよ”
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
六代目山口組の新人事、SNSに流れた「序列情報」 いまだ消えない「名誉職」に就任した幹部 による「院政説」
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《親子スリーショットの幸せな日々》小室眞子さんは「コーヒー1杯470円」“インスタ映え”カフェでマカロンをたびたび購入 “小室圭さんの年収4000万円”でも堅実なライフスタイル
NEWSポストセブン
宮城野親方
何が元横綱・白鵬を「退職」に追い込んだのか 一門内の親しい親方からも距離置かれ、協会内で孤立 「八角理事長は“辞めたい者は辞めればいい”で退職届受理の方向へ」
NEWSポストセブン
元女子バレーボール日本代表の木村沙織(Instagramより)
《“水着姿”公開の自由奔放なSNSで話題》結婚9年目の夫とラブラブ生活の元バレーボール選手の木村沙織、新ビジネスも好調「愛息とのランチに同行した身長20センチ差妹」の家族愛
NEWSポストセブン
常盤貴子が明かす「芝居」と「暮らし」の幸福
【常盤貴子インタビュー】50代のテーマは「即興力」 心の声に正直に、お芝居でも日々の暮らしでも軽やかに生きる自分でありたい
週刊ポスト
ホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明ける被害女性のAさん(写真はAさん提供)
ホストにハマったAさんが告白する“1000万円シャンパンタワーの悪夢”「ホテルの部屋で殴る蹴るに加え、首を絞められ、髪の毛を抜かれ…」《深刻化する売掛トラブル》
NEWSポストセブン
西武・源田壮亮の不倫騒動から5カ月(左・時事通信フォト、右・Instagramより)
《西武源田と銀座クラブ女性の不倫報道から5か月》SNSが完全停止、妻・衛藤美彩が下していた決断…ベルーナドームで起きていた異変
NEWSポストセブン
大谷夫妻の第1子誕生から1ヶ月(AFP=時事)
《母乳かミルクか論争》大谷翔平の妻・真美子さんが直面か 日本よりも過敏なロスの根強い“母乳信仰”
NEWSポストセブン
麻薬の「運び屋」として利用されていたネコが保護された(時事通信フォト)
“麻薬を運ぶネコ” 刑務所の塀の上で保護 胴体にマリファナとコカインが巻きつけられ…囚人に“差し入れ”するところだった《中米・コスタリカ》
NEWSポストセブン
ホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明ける被害女性のAさん(写真はAさん提供)
〈ちゅーしたら魔法かかるかも?〉被害女性が告白する有名ホストクラブの“恐ろしい色恋営業”【行政処分の対象となった悪質ホストの手練手管とは】
NEWSポストセブン
公務のたびにファッションが注目される雅子さま(撮影/JMPA)
《ジャケットから着物まで》皇后雅子さまのすべての装いに“雅子さまらしさ“がある理由  「ブルー」や小物使い、パンツルックに見るファッションセンス
NEWSポストセブン