コンビニ難しい。私たちにはそれができる。すごい。
先ほどからこの「自信」という単語、ちょっと意味を捉えられず流し気味にしていた私だが、グエン君の次の言葉でその真意を知った。
「自信ないからそういうことする。自信ある人そんなことしない」
正直に言う。この言葉で私は涙ぐんでしまった。まだ若いベトナム人青年が、こんな素晴らしいことを日本語で言ってくれる。親に教わった言葉だというが、感動した。
「リーダー自信もつべきです。コンビニ難しい。私たちはそれができる。すごい。リーダーもすごい人」
ごめんグエン君、おじさん本当に泣いてます。ベトナムの政治体制は別にして、教育の素晴らしさはアジアでも群を抜いている。グエン君はベトナムで月3万円しか貰えなかったから、日本で何倍も貰えることに感謝しているという。ベトナム、誇り高い国だが先進諸国に比べればまだまだ発展途上の国だ。そうした国々の人々に辛くあたる日本人、グエン君の言う通り、かつての自信を失っているからこそかもしれない。その日本人シフトリーダーだってきっとそうだ。
「コンビニ凄い。税金やる。なんでもやる」
私が異国のコンビニで働けるかと言ったらまったくもって自信がない。本当に凄いと思う。あの多種多様、何でもありのサービスすべてを扱わなければならない。異国の地で、異国の言葉で、異国の人を相手に。そもそもコンビニの時給はその労働内容に見合っているとは思えない。グエン君には大金かもしれないが、彼、いや能力ある外国人はもっと貰っていいはずなのに。実際、コンビニを介護や製造のような特定技能にして技能実習制度の対象にしようという動きもある。それなのにグエン君は好きな日本で奴隷頭を気取った日本人にいじめられている。日本が嫌いになってしまわないか心配だ。
「そんなことない、日本いい国。ベトナム人我慢強い。自信ある」
ベトナム人留学生は2019年5月1日の時点で7万3,389人(文部科学省「外国人留学生在籍状況調査」)と中国の12万4436人に次いで多い。都内では留学生以外の専業労働者含め約3万6000人(2020年8月24日現在)が暮らしている。政治体制や外交面の問題はあるが、ベトナム人はアジアではタイに次ぐ親日国であり、「ジャパンブランド調査2019」ではベトナム人の92.3%が「1年以内に渡航する予定がある」もしくは「日程は決まっていないが、いつか行きたいと思っている」と回答している。そしてコロナ禍にあっても、ベトナム人がコロナ収束後に行きたい国1位は日本である(インフィニティ・コミュニケーションズ・2020年7月15日調べ)。それなのに、アホな一部の日本人が本当に申し訳ない。
「だいじょうぶ。私に夢あります。我慢できます。日本はいい国、我慢できる」