ビジネス

コンビニで働くベトナム人留学生が明かした「職場での軋轢」

コンビニアルバイトには外国人留学生が多い(時事通信フォト)

都心のコンビニアルバイトには外国人留学生が多い(時事通信フォト)

 30年くらい前までは、コンビニエンスストアのアルバイトというと、誰でもできる仕事という言われ方をした。しかしいま、コンビニは単なる買い物の場所ではなくなっている。各種料金を支払い、宅配便の荷物の受け取りと預かり、チケットの発券、レジでの支払時には各種ポイントカードの登録があり、支払い方法も多種類。これだけ複雑だと、「誰もができる」仕事だとは言いがたい。その多くを最近では、外国人留学生が担っている。俳人で著作家の日野百草氏が、今回は、「自信」という言葉が好きなコンビニバイトをするベトナム人留学生についてレポートする。

 * * *
「日本はいい国、もっと自信もっていいのに」

 私は都心のコンビニで外国人の店員と仲良くなることが多い。というか取材になるかもしれないので必ず声を掛ける。地方ではまだ馴染みが少ないかもしれないが、都心では外国人のコンビニ店員は当たり前で、繁華街となると日本人の店員を探すほうが難しい。20代のベトナム人留学生グエン君(仮名)もそんな当たり前のコンビニ外国人店員の一人だ。日高屋が好きだというので連れて行った。大きくて漆黒の綺麗な眼をクリクリさせて「ラ・餃・チャセット」を前に大喜びである。

「お金持ち、みんな優しい、(街も)綺麗、楽しいこといっぱい」

 グエン君はまだ日本に来て一年ちょっと、それほど流暢に話せるわけではないし、少しシャイな男の子だ。ちなみにベトナム人は名字が極端に少ないので、本当は名字で呼んだりしない。下の名前で呼ぶが、ここは仮名なのでグエン君にする。日本でいったら佐藤さんや鈴木さんというところか。ベトナムの英雄ホー・チ・ミンの愛称は「ホーおじさん」だが彼も一般人ならミンさんと呼ぶのが普通、ちなみにホー・チ・ミンの本名もグエンさんだ。

「だから自信もつ。日本いい国、来てよかった」

 日本を褒めてくれるグエン君。ベトナムの留学生は寡黙だが率直で、自信にあふれている熱血漢が多い印象だ。内なる闘志と言うべきか。ベトナム語で「自信」(confidence)は「ス トゥ ティン」や「トゥ ティン」(グエン君談)。なんとなく昔の日本人のような懐かしさを感じる。戦争という悲劇に対してこんなことを言うと怒られてしまうかもしれないが、やはり国を守りきった誇りというのは子々孫々まで伝わるのだろう。それもあのアメリカ相手にである。そう、ベトナム戦争の勝利こそ、ベトナム人民の血をもって超大国アメリカを退けた誇りこそがベトナム人を支えている。ベトナムの歴史は中国、フランス、そしてアメリカといった大国との戦いの歴史でもある。

「日本すごいのに自信ない、よくないです」

関連記事

トピックス

実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン