アルバムチャートでは度々1位に
『Dynamite』は、マイケル・ジャクソンを彷彿とさせるダンスにアップテンポなディスコ調の曲。BTS初の全歌詞英語の曲ということも、チャート1位を獲得した大きな要因だろう。「Hot100」は、ストリーミングサイトの再生回数や音源販売、米ラジオでの放送回数などを総合して順位を決める。韓国よりも米メディアの方がBTSを高く評価し、『Dynamite』のリリース直後から「チャート1位になること間違いなし」と予測されていた。
韓国のアーティストが「Hot100」でチャート1位を獲得したのはこれが初めてだが、BTSは、これまでにも米ビルボードのアルバムチャート「Hot200」で度々1位を獲得していた。2018年にリリースしたアルバム『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』、『LOVE YOURSELF 結 ‘Answer’』や、2019年の『MAP OF THE SOUL : PERSONA』、2020年の『MAP OF THE SOUL : 7』などだ。一方、シングルチャートでは『FAKE LOVE(2018年)』が10位、『Boy With Luv(2020年)』が8位、『ON(2020年)』が4位に留まっており、少しずつ上位にチャートインしていた。
米ビルボード1位を記念して開かれたオンライン記者会見では、メンバー7人各々が異なる反応を見せた。1位になったというニュースを見て泣いてしまったというジミンは、「コロナ収束のために尽力されているかたがたを癒して気分転換できるようにするのがぼくたちのやるべきこと」と話し、Vは「(まだデビュー前に、)メンバーと合宿をしながら狭い地下室で練習していた頃を思い出す」とつらい時期を振り返った。ジョングクは、「チャートが本当なのか疑ってしまった」と信じられない様子で語り、J-Hopeも「デビューした頃は最善を尽くして生き残るのに全力だったが、今想像以上に愛されていることが光栄」と驚きを隠さなかった。JINは、「(今回の1位獲得は、)BTSとARMYが一緒に成し遂げたこと」と話し、RMも「いつも感謝し謙虚でいたい」とファンへの感謝を語り、SUGAは「グラミー賞を受賞し、BTS単独公演したい」と抱負を語った。7人の頑張りが報われた気持ちや、嬉しさや驚きが切実に伝わってきた会見だった。
韓国では、この勢いだとグラミー賞受賞も十分狙えると見られている。BTSは今や、韓国のアイドルという枠を超えて世界で愛されるグループに成長した。米ビルボードも、グラミー賞候補としてBTSの名前を挙げているほどだ。さらなる新記録を打ち立て、今以上に世界で活躍する姿を期待したい。
【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。