それまではタブーであり、「恥」とすらささやかれた離婚を一般的かつ前向きなものに変えたのも、この世代の特徴だ。石田純一も秋吉久美子も離婚を経験しており、片岡は離婚後も家族と良好な関係を築いていることを明かしている。自分の気持ちに素直になって行動し、その結果を受け入れ、たとえ険しい道だったとしても鼻歌を歌いながら歩いて行く。
豊田さんは、昭和29年生まれはシニアの在り方についても新たなムーブメントを生むのではないかと分析する。
「還暦がリタイアの目安だった上の世代と違い、70才かそれ以上まで働くのが当たり前になったはじめての世代です。それも、金銭面など必要に迫られてではなく、社会への興味や自己実現のためといった理由が多い。そういった意味でも、彼らの生き方が今後も世の中の大きな流れを作って行くのではないかと思います」(豊田さん)
秋吉も、年を重ねるのは悪いことばかりじゃないと言う。昭和29年生まれは、今年66才を迎える。
「66って数字は渦巻きみたいでかわいらしいし、この年になってから急にわかることもあるんです。例えば、昔は真意がわからなかった純一くんの発言とかね……」
1990年、ドラマで共演していた石田が撮影の合間に秋吉にこう告げた。
《今日、娘の名前を決めて役所に出した。『すみれ』って言うんだ。女の子に花の名前をつけると不幸になるっていう人もいるけれど、不幸も運命のうちと思ってさ》