弟子の落語で大笑いしながら酒を飲む喜びを味わえたらなぁ
長年同じことを続けるにはそれなりの心がけも大切なのだと語る。
「傳志会でやった古典の『猿後家』はいまの形にこしらえてから20年。自分でも飽きちゃいますよ(笑い)。でもそれではだめなんです。
いつも“今日初めてやる”というワクワクを持って届けなければいけない。その術がいちばん難しいかもしれません。年をとると、明日を新鮮な気持ちで迎える術も必要になってきます。その秘訣は、見たことや体験したことのないものに触れるのもいいでしょうし、ぼくにしたら本屋に行くことがワクワクできるワンダーランド。
本屋では“こんなテーマがあるんだ”“おいおい、よくこのタイトルで本を作ったな”なんて発見に溢れていて、自分とは違う世界を見せてもらえる。『ガッテン!』の収録の合間にNHK内の書店へ寄るのも欠かせない楽しみです」
志の輔が抱く落語家としての夢とは。
「8人いる弟子の落語で大笑いしながら酒を飲むなんて幸せなんだろうなぁ。その喜びを味わってみたい。どうしても師匠としてみるので、頑張りは認めても心から笑ったことがないんです。
現役のうちは弟子といえどもライバルですから、『弟子の落語なんかで笑うもんか』と前へ出てしまいますし。じゃあ弟子の落語で笑うようになったら、もう終わりじゃないかってね(笑い)」
この先そんな瞬間があればと志の輔は実にワクワクした表情をした。
■撮影/中村功
※女性セブン2020年10月15日号