芸能

加藤雅也が振り返る、五社監督の「奥歯を噛みしめてくれ」

「奥歯を噛みしめてくれ」の意味とは?

「奥歯を噛みしめてくれ」の意味とは?

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづる週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、モデルから俳優に転身した直後の加藤雅也が、故・五社英雄監督や坂東玉三郎に教えられたことについて語った言葉をお届けする。

 * * *
 加藤雅也は一九八八年に俳優としてデビュー、同年の映画『マリリンに逢いたい』で主演した。

「僕は演技の勉強をしていなかったので、張子の虎でした。ですから、現場で勉強するしかありませんでした。

 たとえば、別の作品ですがカメラマンの長沼六さん(六男)に『加藤さんは何をやり出すか分からないし、どう動くか分からないから、ミドルショットでほとんど押さえてるんだよね』と言われたんです。ミドルショットというのは、上半身が入るショットのことです。

 ということは、クローズアップを撮る時はあまり動いちゃいけないんだ、とか。そういうことを現場で教えてもらいました。実は現実と違うテンポでやらないといけなかったりとか。

『マリリン』の時は撮影開始の二週間くらい前に島に送られて『お前、そこに住んでろ』というところから始まりました。それで準備する時間がありました。

 犬の話なので犬がNGを出したらこちらの演技がOKでもダメになった。先輩たちがOKを出していく中で自分がNGを出すと萎縮しますが、ここでは犬が先にNGを出してくれるので、少しだけ気が楽になりましたね」

 翌八九年には五社英雄監督の映画『226』に出演、クーデターを起こす青年将校の一人を演じた。

「五社さんは僕からすると大・大・大監督ですから。そのオールスター映画に選ばれたのは凄く光栄なことでした。

『ああしなさい、こうしなさい』と言う人ではなくて、その人間を活かしてくれる監督でした。じーっと演技を見ていて、ここぞというときに近寄ってきて『奥歯を二、三回くらい噛みしめてくれ』みたいなことをおっしゃって。そうすると、それが苦悩の表情になるんです」

関連記事

トピックス

海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン