1990年代前半には、野沢直子、清水ミチコなどがバラエティー番組に出るようになり、少しずつテレビの世界でも女性芸人が頭角を現わし始めた。
彼女たちはファッションも言動もおしゃれなイメージがあり、従来の泥臭い女性芸人のイメージを一新した。
テレビに出る女性芸人の数が一気に増えたのは、2000年以降のお笑いブームがきっかけだ。『爆笑オンエアバトル』『エンタの神様』『爆笑レッドカーペット』などのネタ番組が注目されるようになり、そこから新しい芸人が続々と現われた。
身近にいそうな女性を演じる一人コントを得意とする柳原可奈子や横澤夏子、体を張ったロケ企画に定評がある森三中やおかずクラブ、アラフォー女性の共感を集める大久保佳代子やいとうあさこ、若者からカリスマ的に支持される渡辺直美など、それぞれの強みを生かしてさまざまなタイプの女性芸人が出てくるようになった。
2017年には女性芸人限定のお笑いコンテスト『女芸人No.1決定戦 THE W』が始まり、女性芸人にますます注目が集まっている。
かつては「デブ」や「ブス」を売りにする自虐的な芸風の女性芸人も多かったが、最近では人々の意識も変わっていて「容姿をネタにするのは古い」という風潮も強くなっている。一般社会における女性の地位向上の動きと共に、女性芸人のあり方も変わり、多様化しているのだ。
※週刊ポスト2020年11月20日号