金メダルを取って、周囲の視線も変わったという。
「私たち自身は、何も変わらなかったのに、『金メダリストは勝って当然』と思われる。だから、常日頃から『簡単には負けられない』と、無意識のうちに、自らにプレッシャーをかけてしまうようになりました。人間だから負けることもあるのに……。でも、それを悲観してもしょうがない。立ち止まらずに『私だって人間だから失敗することもある』と気持ちを楽にして、先に進むことも大事だと思いました。
コロナ禍で東京五輪が延期になったときも、『この状況は自分の力だけではどうしようもできない。だったら、次を見据えよう』と、気持ちを切り替えて、私は悔いなく引退することに決めました。目標さえブレずに持っていれば、必ず明るい未来は待っている。それが、これまでのバドミントン人生とコロナ禍で気づけたことかもしれません」
【プロフィール】
高橋礼華(たかはし・あやか)/1990年4月19日生まれ、奈良県出身。6才からバドミントンを始める。中学で親元を離れ、中高一貫の聖ウルスラ学院英智中学校へ進学。高校時代に後輩の松友美佐紀選手とペアを組み、インターハイ団体、ダブルスで優勝を果たす。2009年、日本ユニシスに入社し、2014年、ヨネックスオープンジャパンで松友選手とともに女子ダブルスで日本人初優勝。世界ランキング1位に。2016年、リオ五輪で金メダル獲得。2020年8月に現役引退。後進の指導やバドミントンの魅力を伝える活動をしている。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2020年12月3日号