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日本のコロナ死者はもっと多い? 死後に陽性発覚する変死が急増

(写真/アフロ)

ステイホームが呼びかけられるが感染者は増加を続ける。死後に感染が明らかになるケースは多い(写真/アフロ)

 医師によって病気や老衰などの「自然死」と判断されず、犯罪によるものとの疑いがある死や事故死を「変死」という。変死は通常の医師では死亡診断を下せず、司法検視が行われる。その変死において、衝撃的な事実が発覚した。

 全国の警察が2020年3~12月に取り扱った変死事案のうち、新型コロナウイルスに感染していた人が122人にのぼったのだ。なかには、外出先の路上や店のトイレで亡くなっていた人もいたという。

 122人は24都道府県にわたり、最も多かったのは東京都の36人。以下、大阪府25人、兵庫県11人と続く。月別では4月の21人をのぞいて、11月まで10人以下が続いたが、まるでコロナの第3波と歩調を合わせたかのように、12月は56人に急増した。

「122人のうち、7割強の90人は死後のPCR検査で陽性が確認されました。これらの人々は生前に体調不良だったのに検査を受けなかったか、無症状のまま本人も気づかないうちに急死した可能性があります。また生前に陽性が判明していた32人のなかには、入院はせず自宅療養していた人が含まれるとみられます。

 これは警察庁への取材でわかったことですが、第3波のピークのなかで“発表”されました。しかも、政府が緊急事態宣言の発出を決めた前日です。それまで意図的にコロナ変死の人数を隠していたのではないかと、闇の深さを感じます」(全国紙社会部記者)

 1月8日には大阪府で30代男性の遺体から新型コロナが検出された。

「その男性は死後に検体を採取して、新型コロナ感染による死亡が判明しました。男性は府内で最も若い死者で、しかも基礎疾患はありませんでした。基礎疾患のない若い男性が新型コロナで死亡するケースは極めてめずらしい」(地元紙記者)

 日本は欧米諸国に比べて、死者数が圧倒的に少ないと指摘されるが、実はそうした「コロナ変死」が数多く潜んでいる可能性がある。東京医科歯科大学法医学分野教授の上村公一さんが指摘する。

「医師によって病死であると明確に判断された死体以外を指す『異状死体』(変死体)の9割近くは解剖されずに死因がつけられ、PCR検査をすることもありません。なので老衰、誤嚥性肺炎、虚血性疾患などの死因がついたご遺体のなかには、ある程度の新型コロナ陽性が紛れ込んでいると考えられます。

 それにしても、10か月で122人の新型コロナ陽性は少なすぎるように感じます。正確な死因がわかれば公衆衛生への貢献ができ、ひいては感染対策を講じることができる。今後、異状死は全ケースでPCR検査を行うべきです」

 死後の検査が行き届いていないだけで、軽症や無症状で感染に気づかなかった「コロナ変死」は、122人よりはるかに多いかもしれないのだ。

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