任侠社会に生きる漢を演じる(C)『ヤクザと家族 The Family』製作委員会。配給/スターサンズ/KADOKAWA
圧倒的なカリスマ性で周囲の人間に心から慕われながら、やがて病に倒れていく親分像。それは、舘が慕い続けた渡哲也の姿が重なってくる。
「ああ、それは嬉しいですね。たしかに、僕の中では柴咲のモデルは、きっと、多分──渡さんだった気がします。どういうわけか、渡さんが出てきちゃうんです。佇まいとか」
元々は「嫌々」始まった舘ひろしの俳優としての人生。それも、いつしか半世紀近くに及ぼうとしている。
「多分、僕はものを作ることが好きなんですよね。芝居をすることよりも、映画を作る作業自体が好きなんです。こうしたい、ああしたいと監督やスタッフと話し合いながら作っていく感じが。きっと、だから、俳優をずっとやってきたんじゃないかという気がします。
もちろん芝居に特化する俳優さんもいます。でも僕はそれよりも、みんなと作って、その一部として芝居をするのが楽しい」
【プロフィール】
春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『すべての道は役者に通ず』(小学館)が発売中。
撮影/五十嵐美弥
※週刊ポスト2021年2月12日号