インド全域に敷かれた厳しいロックダウン
インドでは、昨年春から厳しい感染拡大防止措置がとられてきた。昨年3月24日には、感染拡大を受けて首相の演説が行われ、インド全域にロックダウンが敷かれた。
このロックダウンは、都市間の移動制限はもとより、食料品や薬剤等の生活必需品関連の店舗以外は営業禁止としたうえで、市民に外出禁止を徹底するなど、非常に厳しいものであった。警察が規制違反者を棒で叩いて取り締まるニュース映像を見た人も多いだろう。
ただ、このような厳しい措置にも関わらず、新規感染者数は徐々に増加した。政府はロックダウンの長期化による経済活動の停滞を懸念したためか、5月30日より全国一律のロックダウンを段階的に解除し、各州政府主導の規制へと移行していった。
学校が休校となり、2億7000万人いるとされる児童のほとんどは、昨年3月~今年1月まで、教室に足を踏み入れなかったといわれている。また、ホワイトカラーの事務員の中には、ずっと在宅勤務をしているという人が多くみられるようだ。
感染が落ち着いたことを受けて、2月1日からは移動制限の解除をはじめ、スイミングプールの利用制限の撤廃や、映画館、劇場で定員の5割超の観客収容の許可など措置の緩和が行われている。
首都デリーでは住民の半数以上が抗体保持か
首都デリーでは、感染拡大を受けて昨年から定期的に抗体検査を実施している。その5回目として、今年1月中旬から下旬にかけて、2万8000人を対象にした最大規模の検査が実施された。
2月上旬にその分析結果が発表されたのだが、それによると、検査を受けた人の実に56%以上が抗体を持っていたという。これは、首都圏地域の人口約2000万人のうち、半数の1000万人以上が、すでに自然感染して抗体を持っていることを示唆する驚きの結果だった。
インドにおける新型コロナの感染力にもよるが、おおむね6~7割の人が免疫を持てば、集団免疫が確立するといわれている。首都圏政府はこの結果を受けて、「デリー首都圏の住民に集団免疫が形成されつつある」と説明している。