NHKでは、今回の地震の翌朝、糸井羊司アナが被災者を気遣う発言でニュースを始めたことに、「感動した」「神対応」といった賛辞が集まった。糸井氏は冒頭、こう発言した。
「おはようございます。5時になりました。ほとんど眠れなかった方、早く目覚めてしまった方、ともにお疲れのことと思います。日の出まであと1時間ほどになりますけれども、できるだけ安全な場所で、少し目を閉じながらでもかまいませんので、最新の情報をお聞きいただければと思います」
速報では正確な情報と視聴者の安全確保が最優先だが、それを伝えるアナウンサーの力量もテレビ局の底力である。前出のNHK記者はこう言う。
「緊急特番の場合は、基本的には泊まりの当番アナが担当することになります。実はこの前の地震では、最初に出てきた当番アナが地名の読み間違えを連発するなどイマイチだなあとハラハラして見ていたら、途中からベテランの男性アナに代わりました。やはり向き不向きはあって、事態の深刻度によって盤石のアナを据える判断も重要ですね」
地震はないほうがいいし、そのために備えることはテレビ局にとっても負担だろう。しかし、そこに全力で取り組むからこそ、公共放送としての使命が果たされるのである。