国内

がんステージIVの23才女性「私がたとえ死んでも」壮絶出産の全記録

ステージ4の大腸がん診断を受けた後に結婚式を挙げた遠藤和さん(2019年12月)

ステージ4の大腸がん診断を受けた後に結婚式を挙げた遠藤和さん(2019年12月)

 19才で出会った彼と、22才で結婚し、翌年出産。屈託のない笑顔で娘のことを語る彼女は、至って普通の若いママだ。ただ、彼女は21才でステージIVのがん宣告を受けた──命がけの出産を決意した彼女は、その胸中を日記に克明に書き記していた。

【2021年2月17日(水)】
〈使える薬が減るのって本当命削られてる気になるんだよね。コレが命綱だから。この薬たちが効かなくなったら、もう治療法はない。死を待つだけになる。次の薬がどのくらい効き続けてくれるか。今回の薬は4か月しか効かなかったから〉

 青森市在住の遠藤和(のどか)さん(23才)は、ステージIVの大腸がんを患う。夫・遠藤将一さん(29才)のサポートを受け、この2月中旬は県立病院で、抗がん剤治療を受けた。

「朝一で採血をします。約1時間後に結果が出たら診察を受け、問題がなければ治療が始まります。ベッドが30台ほどずらっと並ぶ抗がん剤治療用の部屋で、6時間ぐらい横になって点滴を受けるんです」(和さん・以下同)

 和さんの胸元には、ポートと呼ばれる“薬剤タンク”が埋め込んである。

「通院時に、胸元に針を刺して体内のタンクに薬剤を補充します。帰宅後、48時間かけてゆっくり体の中に抗がん剤が入っていく仕組みです」

 抗がん剤治療は複数の薬剤を組み合わせて行われる。抗がん剤はがん細胞を攻撃するが、同時に正常な細胞にも影響を与え、それが副作用として表れる。治療後は、その副作用と闘う日々が続く。

「ひどい倦怠感で起きていられず、吐いてしまうことも珍しくありません。倦怠感は1週間ほど続きます。トイレ以外は横になっていることしかできません。ご飯も食べたくないし、水分も摂りたくないんです」

 抗がん剤の効果は人それぞれで、しばらくはその薬剤が効いたとしても、治療を続けていくうちに「薬剤耐性」がついて効果が減少することがある。

「主治医の先生から“薬を変えましょう”という提案があり、2月22日からこれまでとは別の抗がん剤を使った治療が始まりました。新しい抗がん剤はのどがしびれてしまうので、冷たいものが飲めない。しんどいです」

「お母さんがいない子になる準備と覚悟ができるなら」

【2021年2月17日(水)】
〈今日の(娘の)健診は行けないと思ってたから、行けて嬉しかった。娘の成長を1番感じられるのはこの健診な気がする。そろそろ離乳食も始めようかっ!! たのしみにしてたの。食育!! なんでも食べられるようになってほしいけど、それよりも食事を楽しんでほしいな〉

 病院へ行ったその足で、娘の健診へ――和さんは、生後半年の女の子の母親だ。

「初めてのBCGワクチン接種で、娘は大号泣でした。頑張ってえらかった! 注射後はしばらくグズグズしてたけど、抱っこで寝てくれました。いまでは抱っこするだけで肩と腰がバキバキになります。この前まであんなに小さかったのに(笑い)。うれしいような、寂しいような……子育てってすごくあっという間なのかな」

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン