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がんステージIVの23才女性「私がたとえ死んでも」壮絶出産の全記録

出産と卵巣摘出手術を終え、退院を控えて(2020年10月)

出産と卵巣摘出手術を終え、退院を控えて(2020年10月)

 まだ言葉は出ないものの、叫んだり、“あうあう”と口を動かしてみたり、成長期まっただ中だという。

「“そうかそうか”って聞いてあげると笑うんですよ。もうそれがかわいくて。早くおしゃべりしたいです。一緒に本を読めるようにもなりたいな」

 和さんは「本は心を耕す」という恩師の言葉が忘れられないという。娘にも本好きになってほしくて、書店に行っては絵本を集めている。

 がん闘病中の育児。苦労がないわけがない。思い通りにいかないことばかりだ。

「本当は母乳で育ててあげたかったんですけど、母乳が出てこなかったんです。搾乳器を使ってもダメでした。おっぱいが張って、吸わせたい感覚はあったんですけど……。出産後、私は死にかけていたので母乳を作る余裕がなかったんだと思います。娘には『ごめんね』という気持ちでいっぱいです」

 和さんは2020年7月9日に娘を出産。将一さんは当初、「子供がほしい」という和さんに大反対した。

「ぼくは、妻自身の体を優先してほしくて。生きるか死ぬかの問題ですよ? 延命の方法を探っている中で『子供がほしい』と言われても……。『そんなこと言ってる場合じゃない、まずは抗がん剤治療をしっかりしてほしい。妊娠と出産で、これ以上体に負担をかけてほしくない』というのがぼくの気持ちでした。回数を覚えていないくらい何度も大げんかをしました」(将一さん)

 医師からは「お母さんがいない子になる準備と覚悟ができるなら、出産はできないことはない」とまで言われたという。それでも和さんは意志を曲げなかった。

「『お母さんになる』が私の将来の夢でした。『出産できる状況があるのに子供を諦めるなんて、死んでも死にきれない』と夫を説得しました」(和さん)

 和さんの熱意に将一さんは根負け。だが出産までには想像を絶する困難があった。

なんで私だけこうなんだろ?

 和さんは1997年3月20日、青森市生まれ。高校卒業後、2016年に飲食店で働き始めた。将一さんは6才年上で、札幌市生まれ。大学卒業後、建築系の大手企業に就職し、2013年に青森に配属されて和さんと巡り会った。ふたりの出会いは2016年10月、青森市内のダーツバーでのことだった。

「遠藤さん(夫)は、なんだかいいにおいがするし、顔が歌手の森山直太朗似ですごくタイプだったんです。会ったその日に絶対につきあいたいと、一目惚れでした(笑い)」(和さん・以下同)

 その日から、和さんの猛アタックが始まる。デートに誘うのは自分から。好き嫌いが多い将一さんの口に合う料理を研究し、部屋まで押しかけて振る舞った。恋は実った。出会ってわずか10日後に交際が始まった。2017年10月には、和さんの両親への挨拶をすませて同居を開始。ふたりの交際は順調に進展したが、病魔の影は和さんに忍び寄っていた。2018年8月25日のことだった。

「激しい腹痛で、朝から救急外来に行きました。エコーや採血などの検査を受けたものの、『便秘』との診断でした。ところが翌日夜、実家に戻っていたら、また激痛がきた。救急病院に運ばれ内視鏡検査を受けたところ、大腸に腫瘍があることがわかったんです」

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