一方、バズることの不安点もやはりあるようだ。前出・ひらめは「ポケットからきゅんです!」がバズったことでプレッシャーを感じてしまったという。
「また、バズりたいと思う謎のプレッシャー……。前よりいいものを作らないとって勝手に焦ってしまいます。でも、バズるために曲を作るのではなく、自分がみんなに聞いてほしいと思う曲を届けられる様に、これからも頑張ります」(ひらめ)
前出の川崎鷹也はリスナーがライブに来なくなってしまうのでは、と不安をこう語る。
「現在無料で音楽を聴ける事があたり前になり、僕は『ステージがすべて』『ライブがすべて』と思っているので、SNSで聴いて頂いている方々がライブに足を運んで頂けるか不安な部分はあります。僕のライブでなかったとしても、是非一度ライブというものに足を運んで頂き、体全体で音を感じて頂きたいですね。必ずライブならではの魅力を感じて頂けるはずです」
前述したLAUSBUBの岩井莉子は、2月17日のツイートで〈今までほとんど誰にも評価されなかったのに急に大人が数百人単位で押し寄せて来たら普通全員信じられなくないスか…頼るに頼れん〉と率直な心境を語っている。
SNSがインフラとして整備されることで音楽シーンも変化し、才能をより発揮しやすい時代が到来したと言うことはできる。一方で、バズることがミュージシャンに様々な不安をもたらしている点も見落としてはならないだろう。こうしたSNSの負の側面ともしっかりと向き合っていくことが、これからの時代、ミュージシャンとリスナーの双方にとってよりよく音楽を楽しむために必要なことになってくるのではないか。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)