ジャレッド氏は、「趣味はカネと政治とイバンカ」と言ってはばからない。不倫スキャンダルとは無縁のユダヤ教徒。義父と自分が成し遂げた中東和平の意義を世に知らしめる新著を執筆中だ。仮題は「ホワイトハウスでの経験」というが、発売日はまだ決まっていない。
さて、三つ目の「地盤」だが、ニューヨークっ子のイバンカさんにとっては南部フロリダに個人的な地盤はない。ただし、トランプ一家にとってはフロリダは「第二の故郷」だ。一家はフロリダの別荘「マー・ア・ラゴ」には頻繁にやってきて滞在した。大統領在任中には、ここに安倍晋三・首相(当時)はじめ世界各国首脳を招き、会談し、ゴルフに興じた。イバンカさん自身も2020年後半からフロリダに居を移し、住民登録を済ませている。これも上院選出馬の布石だったのかもしれない。
候補宣言は時間の問題とされているが、すでにフロリダの豪邸には大統領選でフル回転したトランプ選挙マシーンの面々がはせ参じているという。父ドナルド氏の「弔い合戦」に向けて、「地盤、看板、鞄」三拍子揃ったイバンカさん。あとは「亡命中のゴジラ」がむっくり起き上がれば、イバンカさんの戦いの準備は万端だ。
■高濱賛(在米ジャーナリスト)