実際に生理中の女性の8割が「普段と比べて仕事がうまくいかない」と感じ、更年期障害を持つ人の2割が「不調が理由で仕事を辞めたいと思ったことがある」というデータもある。経産省の試算でも女性の生理などの不調に伴う国内の労働損失額は年間4900億円とされており、そこに薬代や通院費用を加えると、実に6800億円にものぼる。
東京・国分寺市の矢島助産院で助産師として勤務する傍ら、ラジオ番組『アイノカタチ.chu』のパーソナリティーを務める清水幹子さんは、フェムテックを駆使して仕事と育児に邁進するひとりだ。
「若いうちは体力で乗り切っていたものの、生理がしんどくて、30代後半になってから3、4日寝込むようになりました。やる気も出ないし体もだるい。ソファで寝込んでしまったままご飯を作れず、子供にもイライラしてしまう。
悩んだ末、婦人科へ行き、生理痛も軽減してくれるミレーナという避妊具を子宮内に入れてもらいました。すると3か月くらいで気分の落ち込みやしんどさが軽減し、家族にも優しく接することができた。体が楽になったのはもちろん、『月経がここまでしんどかったのだ』と自覚できて、自分がなぜイライラしているのかわかったことも、心の安寧につながりました」
近藤さんも声を揃える。
「月経に伴う不快さや不調を多くの女性が『当たり前』『仕方ない』と受け止めてがまんしていた。たとえば、お風呂上がりに裸で体を拭いているとき、経血が垂れて床を汚すことがあっても、それを仕方のないこととして受け入れ、『つらい』とか『嫌だ』と口に出すことを思いつきもしない人が多かったのです」
ところが、フェムテックによって、その“名もなき不快感”を回避できる商品が手に入るようになった。
「たとえば吸水ショーツができたことで、ナプキンを取り替えることや蒸れることを『ああ、私はいつもこれが不快だったのだ』とあらためて気づき、解放された人は多い。解決する“モノ”があることで不快さやつらさを口に出しやすくなったということです」(近藤さん)
※女性セブン2021年4月1日号