「第27回橋田賞」では歩行補助車を使いながらも元気な姿を見せた(2019年5月、写真/アフロ)

「第27回橋田賞」では歩行補助車を使いながらも元気な姿を見せた(2019年5月、写真/アフロ)

《90才を過ぎ、足は痛いわ背中は痛いわ、もう体の衰えがひどいからです。夫が28年前に亡くなり、子供もおらず、親戚づきあいもしてこなかったので天涯孤独の身。例えば認知症になったり、半身不随で寝たきりになったりすると、下の世話まで人手を借りなければならない。人に迷惑をかけます。私はその前に死にたい。かつ、痛みの中では死にたくない。それで「安楽死したい」と言っているんです》

 その思想の中心にあるのは「何も残さず、誰にも迷惑をかけず、安らかに逝きたい」という信念にほかならない。それは、いわゆる“自殺願望者”が持つ死への憧れとはまったく違う。むしろその真逆で、橋田さんの「自分で死に方を決める」という意識は、「死ぬ間際までキッチリと生を謳歌する」という強い決心になっていたのだ。

 橋田さんは月に1度の血液検査を欠かさず、人間ドックも頻繁に受けた。健康マニアといっていいほど、健康管理や体力維持に熱心だった。

「90才を超えてからも週2~3回は熱海のジムに通って1時間ほど筋トレを行い、自宅でもバランスボールを使って体幹を鍛えていました。食事にも気を使い、運動前は梅干しや黒豆など軽めの食事ですませ、運動後の昼食はしっかり食べていました。そのほかの時間はテレビを見ることが多く、水谷豊さん(68才)主演の『相棒』シリーズ(テレビ朝日系)がお気に入りでした。夜12時には必ずお休みになっていました」(前出・芸能関係者)

 橋田さんの原体験も、そうした生への執着につながっているはずだ。筋金入りの軍国少女だった橋田さんは当時死ぬ覚悟ができていたが、戦争で奪われた多くの命を見て生命の尊さを知り、さまざまなことにありがとうと感謝するようになった。戦後になると「本当の幸せや豊かさとは何か」を追求し、その問題意識を、貧しいながらたくましく生きる「おしん」の姿に投影した。

 一方で橋田さんは両親を早くに亡くし、1966年に41才で結婚したTBSプロデューサーの夫・岩崎嘉一さん(享年60)とも1989年に死別した。

「その際、夫の家庭の事情で同じお墓に入れないことがわかったそうです。寂しい気持ちになったときに慰められた曲が『千の風になって』でした。曲を聴いて、『夫はお墓の中にはいない、千の風になって、広い空を飛んでいるんだ』と思うようになったそうです」(前出・芸能関係者)

 その後、度重なる病気を患うなかで、「健康なままで死にたい」という思いが強くなっていく。

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン