吉村洋文・大阪府知事の手腕は高く評価されていたが…(写真/共同通信社)

阪神エリアでは医療崩壊の危機が叫ばれている(写真/共同通信社)

 参加国は約200か国に及ぶ。コロナ的には、世界中のありとあらゆる変異ウイルスが一堂に会する可能性のある場だともいえる。そこで何が起こるかは未知数だ。今、日本で急増している変異ウイルスだって従来のものより強い感染力を持っているところが、ハイブリットに掛け合わされることによって、もっととてつもない感染力で暴れまわるスーパー変異ウイルスを誕生させてしまうかもしれない。そういう危険性について、専門家のみなさんはどう考えているのだろう。

 新型コロナが流行してすぐに危惧されていたのは、大会におよそ1万人必要とされる医療スタッフをどう確保するかだ。それでなくても、現段階で阪神エリアは医療崩壊しかけている。後追いで東京の医療事情も厳しいことになる心配はリアルにある。自分たちの身を守るだけで手一杯なのに、どうして世界中からお客様を呼び集めて大密集大会を開き、どんちゃん騒ぎをしたいとなるのだろうか。

 去年も東京五輪は中止すべきだという内容のコラムを、このNEWSポストセブンで書かせてもらった(12月20日配信)。そこでは12月にNHKが実施した世論調査を紹介した。「来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催についてどう思うか」に対し、「開催すべき」27%、「中止すべき」32%、「さらに延期すべき」31%。62%の人が来年のオリンピック開催に否定的ではないか、と指摘した。

 五輪が近づけば世論も変わるという見方をする人もいたのだが、では、最近の世論調査ではどうなっているのか。

今年の開催に否定的な人が圧倒的多数派

 4月9~12日にかけて、時事通信が実施した調査では、「中止する」との回答が39.7%で最も多く、「開催する」28.9%、「再延期する」25.7%が続いた。「中止する」と「再延期する」を足したら65.4%。去年末のNHK調査のものより増えている。

 さらに、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が4月17~18日に行った調査もある。与党寄りのマスコミの調べなのでどんなもんかと思ったら、びっくり。「中止もやむを得ない」との回答が56.8%と図抜けて多く、「予感染対策を徹底して定通り開催できる」は24.3%、「再延期せざるを得ない」は17.6%であった。「中止」と「再延期」を足したら、74.4%だ。今年の開催に否定的な人が圧倒的多数派なのだ。

 小池知事に煽られなくても、とっくに危機感を持っているということである。オリンピックをやってる場合じゃないでしょ、というのが揺るがぬ民意なのである。

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