国内

東京五輪と揺るがぬ民意 国民はとっくに危機感を持っている

2021年の開催の現実味は…(時事通信フォト)

開催できるのか(時事通信フォト)

 様々な見地からの意見があるのは事実だが、民意ははっきりしているようにも見える。コラムニストのオバタカズユキ氏が東京五輪について考察した。

 * * *
「感染拡大を二度と起こしてはいけない、その決意を今回の宣言解除に当たり、改めて私自身、自らにも言い聞かせております」という菅内閣総理大臣の言葉と共に2回目の緊急事態宣言が解除されたのは、3月の21日だった。それから1か月あまり、たったそれだけしか経っていないのに、早くも3回目の緊急事態宣言が発出されることになってしまった。

 今回の宣言期間は、東京都、大阪府、京都府、兵庫県に対して、4月25日から5月11日まで。菅総理曰く、「ゴールデンウィークを中心に集中的に対策を講じて感染拡大をなんとしても抑え込みたい」ということだが、17日間という中途半端な期間で、変異ウイルス感染が急拡大している今の第四波を抑え込むことができるのだろうか。

 専門家の中には一か月間が適切とする意見もあったそうだ。そこを2週間半としたのは、補償金との兼ね合いが大きいのだろう。今回は飲食店への時短営業要請だけでなく、休業も要請・命令できる。飲食店だけでなく、商業施設や劇場なども対象となる。この原稿の執筆時点では、東京都と大阪が飲食店での酒類の提供を禁止とする予定だ。

 4月22日に東京都で行われた新型コロナウイルスの感染状況などを分析するモニタリング会議の中で、小池知事はこう呼びかけた。

「皆様方へのお願いでございますが、感染拡大を抑止するには、人と人との接触を避けることが最も重要なポイントであることは既に知られるところであります。改めて申し上げております。都民の皆様には、よって、外出は必要最低限、都県境を越える移動は自粛、ゴールデンウィークの旅行、帰省は中止または延期でお願いを申し上げます。また、路上や公園での飲み会も止めてください。これについても感染の飛沫が飛ぶということも分析されています」

「そして都外にお住いの皆様には、エッセンシャルワーカーなど、どうしても出勤が必要な方以外、ゴールデンウィークも都内には来ないでいただきたい。事業者の皆様には、テレワークの推進をお願いいたしております。毎日、企業のトップの方に、私、ご連絡を申し上げて、そしてテレワークの徹底を改めてお願いしているところでございます。そして、ゴールデンウィーク中の有給休暇の取得の促進など、従業員の出勤の抑制にご協力をたまわりたく存じます」

そんなに大変な状況であるならば

 内容的にはこれまでなされたきたものとそう変わりはないものの、口調がなかなか厳しい。特に「飲み会も止めてください」「都内には来ないでいただきたい」の箇所は語気を強めていた。危機感を煽ると言っては語弊があるかもしれないが、コロナ疲れしている我々に気合を入れる意気込み十分といった感じだった。

 しかし、そんなに大変な状況であるならば、だ。なぜ、東京オリンピック・パラリンピックの中止が真剣に議論されないのだろう。そこが非常に不思議である。

 五輪が開催されると、選手だけで1万人以上、スタッフや大会関係者などを含めると10万人以上が海外から東京に集まってくる。無観客大会にするとしても、それだけ巨大な規模のイベントが、7月23日から8月8日まで17日間行われるのだ。

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン