芸能

「月9枠」が大きく変化 視聴率より“記憶”に残るドラマ望む声も

視聴率は好調をキープ(番組ホームページより)

視聴率は好調をキープ(番組ホームページより)

 一時の暗黒期を脱し、いまやフジテレビ「月9」枠は完全復活を遂げた。竹野内豊が主演を務める新ドラマ『イチケイのカラス』も平均視聴率2桁をキープしている。近年の月9は、往年の恋愛ドラマを捨て、1話完結型のミステリが主流だ。『イチケイのカラス』も、変わり者の刑事裁判官が難事件の真相を明らかにするストーリーだ。

 かつて月9は、『東京ラブストーリー』(1991年1月期)が日本ドラマ史に残るヒットを飛ばし、時代の最先端を生きる若者たちの恋模様を描くトレンディドラマ路線を確立した。しかし、2000年代に入り、月9は苦難の時を迎える。視聴率低迷の理由としては、視聴者が昔ほどテレビを視聴しなくなったこと、キラキラの恋愛ものを好まなくなったことが考えられる。

 2010年代後半になると、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年1月期)、『カインとアベル』(同年10月期)、『海月姫』(2018年1月期)など、平均視聴率2桁を割る作品が続いた。福山雅治が3年ぶりに連ドラ主演を務めた『ラヴソング』(2016年4月期)でさえ不調で、当時の月9ワーストを更新してしまったのは、フジテレビにとって大きな誤算だったことだろう。

「トレンディ」や「キラキラ」といった言葉とは正反対の裏社会のいざこざを描いた『極悪がんぼ』(2014年4月期)を放送するなど、月9の手探りは続いた。その末に掴んだ結論が、「1話完結型のミステリは視聴率に繋がる」だったのではないだろうか。

 2018年7月期に放送された『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』以降は、『SUITS/スーツ』、『トレース〜科捜研の男〜』、『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』、『監察医 朝顔』シリーズ、『シャーロック』、そして、『イチケイのカラス』とミステリ要素のある作品が続き、そのほとんどが平均視聴率2桁を記録している。

 恋愛モノの印象が強い月9だが、黎明期は「業界ドラマシリーズ」として、メディアの舞台裏を描いた作品を多数放送してきた。そこから恋愛モノに辿り着いたのが、視聴者の嗜好に合わせた試行錯誤の結果であるならば、現在の月9が実質ミステリ枠となっているのも、トレンディドラマを知る世代としては少々寂しくはあるが、時代の流れとして仕方のないことなのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン