──5位から3位までを見ていきましょう。
半田:5位は、あべ静江さんの『長距離電話』(1977年)。フォーク路線のアルバム『TARGET』の翌年に出たシングル曲で、佐藤健さんと林哲司さんという、シティポップ派の2人がサウンド作りを担当しています。
4位は、和田アキ子さんの『私夢を見るの』(1973年)。アッコさんは日本におけるポップスの開拓者の1人で、R&B歌謡の歴史そのもの。ところがこの曲ではとてもアッコさんと思えない、ウイスパー系アッコの歌声が楽しめます。
3位がいしだあゆみさんの『バイ・バイ・ジェット』(1977年)。『アワー・コネクション』というアルバム収録曲。ティン・パン・アレイのサウンドとのマッチングを聴いてみてください。
さにー:私の5位は、しばたはつみさんの『マイ・ラグジュアリー・ナイト』(1977年)。これはもう、映画音楽です。
半田:来生たかおさんが認められた曲。この曲で売れてよかったと思いました。シティポップはイメージ的にはAOR(※)に近いと思いますが、作詞でAOR的なものといったら、日本では来生えつこさんの詞が、ちょっとそこに入るんじゃないかなと。
【※/AORとは、1980年代の日本で用いられた音楽用語。Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック=大人向けロック)の略語。ボズ・スキャッグスやスティーリー・ダン、クリストファー・クロスなどの楽曲がそれで、「ソフト&メロウ」「アダルト・コンテンポラリー」に近いニュアンスを持つ】
さにー:来生えつこさんの小道具をピックアップするセンスがすごく好きです。4位は、ちあきなおみさんの『夜へ急ぐ人』(1977年)です。
半田:これはまた、すごいのもってきたねー(笑い)。
田中:実は私も入れようと思っていた曲です! 『NHK紅白歌合戦』で、この曲を歌ったときの映像を見ましたが、すごかったですよねー。
さにー:女じゃなきゃ歌えない、妖気と情念ですよね。3位は、ペドロ&カプリシャスの『ジョニィへの伝言』(1973年)です。実は私、「登場人物が3人出てくる歌に佳曲多し!」っていう持論をもっていまして(笑い)。
田中:おぉ! 『絶体絶命』(山口百恵)もそうだね(笑い)。