女優・広末涼子のどのような点が、ドラマ内での役柄と重なるのだろうか。中川氏が続ける。
「拘束時間が長く、家庭と仕事の両立が容易ではないこの世界で、後に続く人たちのためにも自分がパイオニアになりたいという気概。一方で、周囲の意見に素直に傾け、脚本の意図をできるだけ深く汲み取って体現しようとする真摯さ。ご自身の華々しいキャリアや周囲からの賞賛にまるで胡坐をかくことなく、驚くほど実直に芝居に取り組むその姿には、時として感動すら覚えます。
しかしこれは、広末さんにとっては、まるで当たり前のことに違いありません。それを当たり前にできなくなるのが、年齢であり、経験であり、立場だと思うのですが、そうした呪縛とは対極の場所で生きているからこそ、“広末涼子”は唯一無二の存在なのだと思います」
プライベートでは3児の母である広末涼子。昨年はドラマデビューから25周年にして40歳という新たな節目も迎えた。長年にわたって活躍しつつも常に真摯に演技に取り組んできた彼女は、今後も新たな挑戦をし続けていくに違いない。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)