青森に留まるか、東京で新しい病院を探すか—ふたりが治療の方法を模索する中、3月8日に将一さんの東京転勤が決まる。家族は揃って東京に移住することとなった。
超低出生体重児として生まれた娘は、順調に体重を増やし、すくすくと育っていた。
〈2021年3月8日(月)
離乳食も、7日目だから人参スタート。初めは人参の汁だけ飲ませてみた。びっくりした顔して、何コレ? って感じだったけどごっくんしてくれた。かわいい。
その後お粥に混ぜて、人参粥にして食べさせた。ベーして完食してくれなかったけど。味に慣れるためだもんね。最初からうまくいくとは思ってないから大丈夫。娘ちゃんのペースでがんばろね。〉
「出産直後は呼吸が不安定で心配だったのですが、元気に育ってくれて、本当に安心しています。私の中の元気をかき集めて出てきてくれたんじゃないかな。離乳食は、なんでもよく食べます。好き嫌いが多いパパに似なくてよかったです(笑い)」
娘ちゃん残して死ぬなんてできない
〈2021年3月9日(火)
残りの治療法は2つ。そのどちらも効かなくなったら、おそらく半年くらいしか生きられないだろうって。癌診断から3年が平均らしい。今、2年半。次の薬が効けばいいけど、前々回は4ヶ月。前回は1クールで終了。厳しいと思う。今日の血液検査もマーカー倍増してたし。どうなっちゃうんだろう。来年は私に来るのかな?
きっと大丈夫って根拠のない自信あったんだけど、ズタズタになったわ。自信。何をもって大丈夫って思ってたのか……。分からなくなってきちゃった。死にたくないなあ。まだやりたい事たくさんあるのに。
2週に1回しんどい思いして治療して、効いてるか効いてないか分からない、半分毒みたいな薬入れられて、死にそうになりながら頑張ってるのに全然治ってくれなくて。どれだけ頑張っても結果がついてきてくれなくて。あとどれくらい頑張ったら治るの?
ぜいたく言わない。もう治らなくてもいいから共存したい。死にたくない。私なにか悪い事でもしたのかな。謝るよ。全力で。何でもする。だから助けてほしい。東京行ったら何か変わるかな。前向きに、希望持って行くから治してくれないかな。
あと60年は生きたいんだよね。治療法探さなきゃ。お金も貯めなきゃ。あぁ考えまとまってなくてグチャグチャな日記になっちゃった。娘ちゃん残して死ぬなんてできないし。切り替えなきゃ。生きなきゃ。大丈夫。なんとかなる。余命は統計。〉