規制強化するには「根拠と議論」が必要
一連の問題について50代の男性喫煙者はこう言う。
「基本的に喫煙や飲酒は個人の嗜好の問題で、そこに行政が深く関与すべきではないと思います。もちろん、受動喫煙防止など公共の福祉が最優先されるべきですが、最近の喫煙所閉鎖や、飲食店への酒類提供制限は明らかに行き過ぎですよ。
コロナ感染対策とかクラスター対策とか言っていますが、市民を納得させられるような根拠を何も示していません。理路整然とした理由を示したうえで、飲食店や関連業者に対してはきちんとした補償を迅速に行うというのであれば、納得する人も出てくるでしょうが、これまでの一方的な押し付けでは反発が強まるだけだと思います」
ビールは大好きだが、たばこは吸わないという60代の女性にも話を聞いてみた。
「最近になってまた東京などに“まん延防止”の延長が報じられていますが、学習効果がなさすぎますね。感染者のリバウンド兆候があらわれているのに緊急事態宣言を解除したのは前回とそっくり。
路上喫煙に関しては、屋内が原則禁煙になった状況で喫煙所を閉鎖すれば増えてしまうのは分かり切っている話。午後7時までの酒類提供にしたって、冬じゃないんだから、7時を過ぎれば路上飲酒が増えますよ。コロナ対策が最重要であるのは当然ですが、なんでもかんでも規制するというやり方には、危うさを覚えますね。
コロナ禍で五輪をやろうなんてするから、どうしても国民に無理を押し付けてしまう。いやな世の中になってきましたね」
路上喫煙や路上飲酒の増加につながっている公共喫煙所の閉鎖や、酒類提供制限といった“強権発動”を、強引な五輪開催と絡めて受け止めているようだ。
この問題に関してはさまざまな意見があるだろうが、規制を強化していくのであれば、その必要性を示す明確な科学的・医学的根拠とオープンな議論が必要だろう。そして公平で平等な対策、政策が不可欠だ。
一方的な制限や禁止、閉鎖という強硬手段には、必ず反発と反動がつきまとう。それは、禁酒法や禁煙政策が続かなかった歴史が物語っている。