スポーツ

コロナ禍での五輪 「テレビでの大はしゃぎが少ない」というメリット

東京五輪、なかでも開会式に関わる人たちの過去が次々と問題になった(イメージ、dpa/時事通信フォト)

コロナ禍で迎えた東京五輪(イメージ、dpa/時事通信フォト)

 緊急事態宣言下で開幕した東京五輪。反対意見も多いなか、日本選手のメダルラッシュで盛り上がりを見せることとなった。女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子も、今回の五輪について“コロナ禍でよかった”と思うことがあるという。オバ記者が、東京五輪における、コロナ禍の功績について語る。

 * * *
「ああ、そうか。そうだよね」。モヤモヤしていたものがストンと腑に落ちるのは一瞬のことなんだよね。ほかでもない、今回の東京五輪のことよ。

 あれは7月半ばのこと。

「夫が東京競馬場のトーチキスに出場するんですけど、一緒に行きませんか?」と、ライター仲間の氏家裕子さん(41才)から誘われたの。氏家さんは女芸人からライターになった経歴の持ち主で、かつて「オバ・コバ7」というコンビ名で、私の相方として『M-1グランプリ』の予選にチャレンジしてくれた人だ。

 彼女からのお誘いは、よほどのことがない限り、二つ返事と決めている。てか、親子ほどの年齢差のある人から誘われて、うれしくて仕方がないのよ。しかも彼女の夫・G氏は大手建設会社に勤務する33才で、聖火ランナーに応募して見事、採用された。ランナーになりたい、その熱い思いを作文にして認められたのだそう。

 待ち合わせた府中本町駅の改札で、「オバ記者~!」とコバが手を上げる。駅には30代から40代の観覧者がパラパラいて、係員の人が順に体温を測ってイベントのタオルを手渡してくれた。その間、1分にも満たなかったと思う。

 そうなんだよね。私たちにとっては2度目だけど、コバも、本来なら公道を走行する予定だったG氏も、「東京五輪は生涯一度のこと」なのよ。

 私と同世代の仕事仲間や友達は、「オリンピックって、コロナ禍で国民の命と引き換えにするほどのこと?」だの、「どうせ一部の人の金儲けイベントでしょ」だのと言い、シメは「だからやめりゃいいんだって」に落ち着いた。正直、私も「だよね~」とうなずいていたクチだ。

 だけど、世代が違うと、まったく景色が変わる。高度成長期もバブルも知らない世代の「開催できるなら、できる範囲でやってほしい」という願いを、ひとり暮らしの私はまるで理解していなかったんだわ。

 *
「ああ、この人だけはわかっているんだな」

 そう思ったのは開会式の橋本聖子参議院議員の挨拶のときだ。「すべてのアスリートを称えたい。自信を持って舞台に上がってください。いまこそアスリートの力を見せるときが来ました」という涙ぐみながらの言葉に、思わずもらい泣きした。

 体ひとつで世界と戦うということはどういうことか。

 開催までどんなゴタゴタがあろうと、始まったら言い訳なしのガチンコ勝負。「五輪開催ハンタ~イ」なんて声を耳に入れながら、コロナ禍で命がけの練習をするのはどういう心情だったろう。開催しなければ流した汗に意味がなくなるようなことを何年もできるか。私なら絶対にムリだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン