芸能

永島敏行 軍人役ばかりやって「軍人役者」と書かれた若き時代

若い頃は軍人や自衛官の役が多かった永島敏行

若い頃は軍人や自衛官の役が多かった永島敏行

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による、週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優の永島敏行に、岡本喜八、松林宗恵、根岸吉太郎、池田敏春など名匠たちに出会い、映画づくりに加わった思い出について語った言葉を紹介する。

 * * *
 若い頃から永島敏行は軍人や自衛官の役が多く、デビューして数年で『皇帝のいない八月』(七八年)、『英霊たちの応援歌 最後の早慶戦』(七九年)、『動乱』(八〇年)、『二百三高地』(八〇年)、『連合艦隊』(八一年)と、次々に出演してきた。

「当時は郷ひろみさん、西城秀樹さん、野口五郎さんみたいな髪の毛の長いアイドルが芸能界に出る時代だったので、僕みたいな坊主頭でゴツイ奴は珍しかったんです。それで戦争映画の軍人役が来たのでしょう。ですから、デビューしてからもずっと坊主であまり髪の毛を伸ばしたことはありませんでした。

 あまりに軍人役ばかりやっていたので『軍人役者』と書かれたりもして、そのイメージがつくのも──と思っていましたが、そんな贅沢言っていられません。

 それよりも、岡本喜八監督や松林宗恵監督といった素晴らしい監督と仕事ができるだけで嬉しかったですし、何より現場にいることが楽しかったんです。みんなで物を作るという。こんな楽しい世界にいていいのかよ──と思っていましたね」

 八一年、根岸吉太郎監督の映画『遠雷』では都市化してゆく宇都宮を舞台に、時流に抗う農家の青年役を演じてブルーリボン賞主演男優賞を受賞した。

「戦争映画のイメージを変えたい時だったんです。

 そんな時に原作を読んで。都市化される宇都宮、つまり東京近郊の話ですから、僕の育った千葉とよく似ている。子供の頃は東京湾もキレイで、潮干狩りに行ったらアサリが湧いてくるんです。それが工業地帯に変わって、子供の頃に遊んだ場所はなくなりました。

 ですから、当時の自分の気持ちにフィットしたんですね。初めて自分から『この映画に出たい!』と思いました。いろいろPRしながら、なんとかして出たいなと努力しましたね。

 テーマも自分の中に気持ちとして落とし込めているので、これで自分が変えられたなという想いは凄くありました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン