「一つ目はメディアとしてのSNSの位置づけの違いです。新聞が読まれなくなっていたり、若い人ほどテレビの接触率が低下していたりしますが、やはり世界的にみれば日本はいまだにマスメディアの影響力がとても強い。見方を変えれば、(日本の)ネットメディアの社会的な地位が相対的に低いんですね。なのでSNSよりもマスメディアの情報の公式性、権威性が強くなってくる。

 それに対してアメリカを含む諸外国では、権威主義国家などいくつか例外はあるものの、多くの人々が共通に見るメディアとしてはマスメディアがほとんど機能しておらず、むしろSNSが属性ごとに人々の共通項として機能しています。そのため海外ではSNSに情報が出ることの権威が強くなっている。

 二つ目は表現の自由の位置づけの違いです。アメリカにおける表現の自由の位置づけはとても強力です。下級審でTwitterのブロックをめぐって違憲とする判断が出たことが象徴的で、アメリカでは合衆国憲法の修正第1条に表現の自由、報道の自由が書かれます。公人が前述のように権威ある媒体としてのSNSでブロック機能を使うことで、市民にとって言論の自由や政治の透明性、政治家が説明責任を果たすこと等々を毀損されている権利侵害だと広く捉えられたのではないでしょうか。

 一方で日本における表現の自由は、日本国憲法第21条に書かれてはいますが、日常生活のなかで権利としてあまり意識されることがない印象です。そうであるからこそ、『公人も民間人もTwitterをどう使おうが個人の自由』という見方も相当程度支持されている。加えてSNSはメディアとしての公式性が弱いので、そこでどんな発言をしようが、ブロックをしようが、他に記者会見やマスメディアなど、より公式なチャンネルや場があるから別に構わないという感覚が日本では強いのではないでしょうか」(西田准教授)

政治家のブロック行為は何が問題か

 ハッシュタグ「#河野さんにブロックされています」のトレンド入りを受けて、9月7日の記者会見で河野大臣は自らの考えをあらためて説明。「SNS上で誹謗中傷されて悩んでいる方は非常に多くいらっしゃる」「(ブロック機能を使うことは)問題ない」と述べた。9月8日の記者会見では加藤勝信官房長官も「個人の活動において個人として判断をされている。これに尽きる」とブロック騒動に言及し、問題視しない意向を示した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン