ビジネス

ホンダ「フィット」はなぜ売れないのか ミニマリズムの追求で見えた弱点と課題

フィットクロスター e:HEV 4WDのフロントビュー(静岡西部、遠州灘をバックに)

フィットクロスター e:HEV AWDのフロントビュー(静岡西部、遠州灘をバックに)

 ホンダの代表的なコンパクトカー「フィット」の売れ行きが芳しくない。直近8月の新車販売台数ランキングを見ても、往年のライバル「ヤリス(旧ヴィッツ)」(トヨタ自動車)に大きく水をあけられているばかりか、「アクア」(トヨタ)や「ノート」(日産自動車)などにも抜かれ13位に甘んじている。いったい不振の要因はどこにあるのか──。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が試乗して確かめた。

 * * *
 2020年に主要モデルがそろってフルモデルチェンジを受け、今年もトヨタがハイブリッド専用モデル「アクア」の第2世代モデルを投入するなど、ちょっとした激戦区となっている国産Bセグメント(サブコンパクトカー)市場。その競争のさなか、防戦一方になっているのがホンダ「フィット」だ。

 フィットの第1世代は全長3.8m台の短いボディに広大な室内空間を持たせたクルマとして2001年に登場。トヨタ「カローラ」が33年間守り続けてきた年間販売台数1位の座を奪取するなど、日本のベーシックカーの概念を覆すほどの存在感を放っていた。

 しかし、第3世代のモデルライフ途中、そのフィットの販売に急ブレーキがかかる。2019年の年間販売台数は7万4000台。最も売れた2002年の25万台と比べると3分の1以下だ。

意欲的なモデルチェンジも響かず

 その事態を打開するため、デザインを肉食系から和み系に思い切り戻したのが2020年2月にフルモデルチェンジした現行の第4世代。クルマの基本部分は旧型の発展形だが、ハイブリッドシステムも駆動用電気モーターと発電機が別体の2モーター型を採用するなど意欲的なフルモデルチェンジだった。

旧型の肉食系から一転、和み系デザインになったフィット(写真はフィットクロスター)

旧型の肉食系から一転、和み系デザインになったフィット(写真はフィットクロスター)

2モーター式ハイブリッド、e:HEVのロゴ

2モーター式ハイブリッド、e:HEVのロゴ

 ところがフタを開けてみると、頽勢に歯止めをかけることはほとんどできなかった。ヴィッツあらため「ヤリス」の後塵を拝するばかりか、ハイブリッド専用車となって平均売価が跳ね上がった「ノート」にも押されている。加えて7月には第2世代トヨタ「アクア」という新たな難敵も登場した。

 今は不足している半導体の調達力の企業間格差が販売台数に大きく影響しているのでマーケットでの販売スコアをそのまま実力値としてみることはできないが、ホンダは事態を深刻に受け止めていて、「早期にデザインを軸に大規模変更する予定」(ホンダ関係者)であるという。

あわせて読みたい

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト