そんな鈴木には、長年抱いた野望があると、白石監督が明かす。
「アメリカ進出です。ある時、彼に東京外国語大学に行った理由を聞いたら、『将来、ハリウッドで芝居をするために、英語がしゃべれる大学に行きました』と話していた。
例えば亮平君は右の眉毛だけ上下に動かすとか、顔の筋肉のこのパーツだけを動かすとか、いろんな技があるのですが、20歳くらいの頃から鏡を見たりしながら訓練していたそうです。
彼曰く、『僕の顔はのっぺりしているから、意識して動かさないと表情がはっきりしない』って。この技術は『孤狼の血 LEVEL2』の上林役でも存分に生かされている。チャンスがきた時のために、できることは全てやっている」
前出の町山氏はこう語る。
「『孤狼の血 LEVEL2』でスタントを一切使わずに激しいアクションに挑んだあのガッツと、堪能な英語力。かつて松田優作が『ブラック・レイン』で凶暴なヤクザを演じ世界中を興奮の渦に巻き込みましたが、それ以来のインパクトを残せる日本人俳優は鈴木だけでしょう」
世界のスズキになる日は近い。
※週刊ポスト2021年10月1日号