そうした思いは、『さんまのまんま』への出演がきっかけで、生き別れた母と40年ぶりの再会を果たしたときにも変わることはなかった。場所は、所属事務所の社長が用意したホテルの会議室。ドアが開き、年老いた母親はムロの姿を見て「やっと会えました」と口にしたという。
そう明かすムロはやはり、からりとしている。さんまが「泣いて(母親が)『ごめんなさい』とか?」と水を向けても「なかったです」と、きっぱり。驚くさんまを前に、ムロは再会のときを淡々と振り返る。
「“お母さん”とは呼べなかったんですけど。でも、ほんといろいろ話をして。言えましたよ、『産んでくれてありがとうございます』って」と語り、「『僕は恨んでないし、この家庭環境のおかげで、役者という道を選んで意地にもなれた』と言ったら、『よかった、そう言ってもらえて』と」
ポツリポツリと、2人の会話を明かすムロ。むやみに母が築いてきた世界に入り込まず、再会を噛みしめるのも“ムロ流”だ。「できる限りこれ以上、踏み込まないようにと思っています」と伝えながら、決して突き放すわけでなく、「お幸せを願わせてください」と言葉を添えて別れたのだ。
どうしてもしんみりとしてしまう話だが、『さんまのまんま』でのムロは、父親役を演じる自身初の主演映画『マイ・ダディ』の宣伝に結びつけ、しっかりとさんまを笑わせてオチをつけた。やっぱり、涙で終わってはムロじゃない。
※女性セブン2021年10月21日号